案ずるより産むが易し

綾菜 祖父はその前にも何回か倒れていて、一度「死ぬのが怖い」という話になったんです。その時、母と私が「おじいちゃんはこんなに頑張ってきたんだから、死ぬのは怖くないよ。次に生まれ変わってくるためのスタートだよ」と伝えて、それを手紙に書いて渡していたんです。祖父が亡くなってから部屋を片づけていたら、その手紙が布団の下から出てきたんですよ。

阿川 おじいさま、きっとその手紙をお守りのように大事にしていたんですね。

綾菜 祖父はそうやって看取れたけど、加トちゃんのときは私、どうなってしまうのかな……。考えるほどに怖くなりますけど、さっきの阿川さんのお言葉のとおり、案ずるより産むが易し、ですね。

 今、加トちゃんは減塩しているんですけど、私があんまり厳密にやりすぎて、私が作る料理がおいしくないって言うんです。試しに、宅配の減塩食を頼んでみたら「すごくおいしい!」って。最初はショックだったけど、週に数回頼むだけでもラクになったんですよね。少し力を抜いて、ボチボチやっていこうと思っています。

阿川 そのほうがいいです。あまり尽くしすぎると「こんなにやっているのに」とストレスがたまるのは、介護も日常生活も同じ。私も、父が入院していたころはよく仕事中でも電話がかかってきて「あれを買ってこい、これをしろ」と要求が厳しくて。ストレスがたまると、父から預かっていたお金で下着やタイツをこっそり買って憂さ晴らしをしていましたよ。

綾菜 かわいい憂さ晴らしですね(笑)。少しうしろめたさを感じるほうが優しくできたりもしますよね。私も、予行演習のつもりで頑張りすぎないようにします! 今日はありがとうございました。

【最近の加トちゃん家】
 本連載にお付き合いいただきありがとうございました。たくさんの方とお話しさせていただき、介護への向き合い方や看取りについて深く学ばせていただきました。阿川さん、これまで対談していただいたみなさま、本当にありがとうございました。これからも介護を学び続けていきますのでまたお会いしましょう!

 では、最近の加トちゃん家です! いつも買い出しは私ひとりで行くのですが一緒に行きたいと言うので久々に2人でスーパーへ。私が食材を選んでる間に旦那は上の階の日用品売り場へ。嫌な予感。久々の買い物でうれしいのか犬のおもちゃや自分のおやつなど特大サイズの袋で4袋分購入してました。本人は大満足なご様子。うん。やっぱり次からスーパーはひとりで行こう(笑)。

PROFILE●加藤綾菜(かとう・あやな)●1988年4月12日生まれ。2011年に加藤茶と結婚し、45歳の年の差婚で注目を集めた。夫を支えるため介護を勉強。「介護職員初任者研修」(旧ホームヘルパー2級)、「介護福祉士実務者研修」(旧ホームヘルパー1級)を取得。TWIN PLANET所属。

PROFILE●阿川佐和子(あがわ・さわこ)●1953年東京生まれ。報道番組のキャスターを務めた後に渡米。帰国後、エッセイスト、小説家として活躍。『ああ言えばこう食う』(檀ふみとの共著)で講談社エッセイ賞、『ウメ子』で坪田譲治文学賞、『婚約のあとで』で島清恋愛文学賞を受賞。他に『ことことこーこ』『ばあさんは15歳』『聞く力』『看る力』など。

《取材・文/中村裕美(羊カンパニー)》