<感情>

 複雑性PTSDでは、簡単に他人を信じることが出来ない症状です。会見で記者を目の前にすることで、<この中に、誹謗中傷を書いた人がいるのではないか><またバッシングの記事を書かれるのでは> といった思いがよぎり、強い恐怖や不安にさらされることもあります。

 さらに、この会見の様子が記事になることを想像し、過去の批判や侮辱的なコメントがフラッシュバックすることも。当時のつらい苦しい感情がまさに今起きているように再現されるので、パニック発作として、身体的に過呼吸、動悸や冷や汗、手の震え、めまいなどの症状が出ることも考えられます。

 また、PTSDの症状として、神経がピリピリと高ぶっている状態なので、皮肉や嫌味のある質問をされると、イライラや焦燥感を上手くコントロールできずに、表情や声色などに現れてしまう可能性もあります。

<記憶・思考>

 やたら鮮明に、過去をこと細やかに記憶していることがある一方で、記憶の一部が抜け落ちてしまっている可能性もあります。それはつらかったときのことだけではなく、何気ない日常生活の1コマが抜けていることも。なので、会見では、周りから見たら『そんなことを忘れるのか?』と思うような一面があるかもしれません。

<身体の動き>

 先に述べたように、動悸や冷や汗、手の震え、めまいなどの身体症状も特徴です。しかし、極度の緊張やストレスが強くなると、これ以上の刺激を受けないように、心の防御反応の1つとして感情が麻痺。そのため、表情がなくなりボーッと固まって動けなくなって(フリーズ)してしまうこともあります。

求められる配慮

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 もし、上記のような症状が出てしまえば、会見中断ということもあり得るかもしれない。「だからこそ、そのような症状が出ないように本人への配慮や工夫が必要」と井上先生。

たとえば、最初の段階から『本人の体調を優先して、予定の時刻より早く切り上げる可能性もあります』や『本人が途中で退室する可能性もあります』くらいにアナウンスしておくのは有効です。無理して最後までいなければいけないプレッシャーが解け、ご本人も安心感が得られるでしょう」

 今回の会見は事前に提出された質問に答えていく形式となっており、そのあたりも安心材料となるかもしれない。さらに記者の質問の仕方にも注意が必要だ。

「質問をしてから、眞子さまが答えるのを急かさないようにすることも大事です。責められていると感じる言い方や、トゲのある表現をすると、本人にとって大きな負担になります。限られた時間だとは思いますが、1つ1つの質問にはゆっくりと時間をかけていくのが理想です。

 また、精神疾患はデリケートな問題。具合については『体調は大丈夫ですか?』くらいにとどめておき、この疾患自体の症状や過去のつらかった経験などを掘り起こすような質問は、フラッシュバックを誘発させるリスクが高いので、絶対に避けるほうがいいでしょう

 26日の会見は、お2人にとって新しい門出となる第一歩。まずは大きなトラブルもなく会見が終わることを、眞子さまの体調とともに、見守りたい。