「心臓発作は心筋梗塞や狭心症、不整脈による全身状態の急激な悪化などを総じた名称。いずれも心臓の血管に異常が起こって意識を失い、時には命に関わる病気です。主な原因は高血圧や高コレステロールによる動脈硬化といわれています」

 近年では、発作の後のリハビリテーションが重視されるようになっているという。

復帰は「来秋」か

「心臓の負担を減らして社会生活を送るために、規則正しい運動を続けながら、栄養面の見直しや薬物治療で改善を図っていきます。現在は退院後の再発防止のため、運動療法を軸に食事などの生活全般の指導を含めて、再発防止を継続していこうという考え方が主流です。これらの意識の変化から、発作を起こしてから150日間は、継続してリハビリができる保険の制度もできました」(河瀬氏)

 休業からすでに7か月。順調にリハビリを重ねていれば回復の兆しも現れているはずだが、その経過は謎のまま。彼の情報が極端に少ないのには理由がある。

「吉右衛門さんは梨園の世界でも屈指の秘密主義者。孤高の役者だった彼は、自身の私生活や弱みなどを外に漏らすのを極端に嫌がっていました。播磨屋の関係者ですら、入院している病院を聞かされているのは一部の人たちだけのようです」(松竹関係者)

'18年に行われた秀山祭の囲み会見。左から尾上菊之助、中村吉右衛門、松本幸四郎と親族共演が実現した
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 1日も早い復帰が待たれるが、めどは立っているのだろうか。

「来春ごろには復帰できるかもしれませんが、同時期にはすでに2年延期している市川海老蔵さんと息子の勸玄くんの“ダブル襲名披露興行”の気運が高まっていますからね。場合によっては来年の秋ごろまで延びてしまうかもしれません」(同・松竹関係者)

 先が見えない吉右衛門のこれからだが、周囲が最も危惧するのは万が一、復帰が叶わなかった場合だ。