雇用主から「病気が治ったらまた戻っておいで」と温かい励ましを受け、回復のきざしが見えると、金城容疑者は「また工場に戻ろうかな」とつぶやいたという。

田んぼ脱輪事件

 金城容疑者も黒色の車に乗っており、車内はキャラクターのクッションを置くなど、かわいらしい装飾が施されている。滋賀へは運転していかなかったようで、今も自宅に止まったままだ。

金城え夢容疑者の車にはキャラクターのクッションが置かれている
金城え夢容疑者の車にはキャラクターのクッションが置かれている
【写真】入江容疑者が無職でも手放したくなかった高級バン

「少し前にえ夢ちゃんが運転中、脱輪して車が田んぼに落ちてしまったことがあった。母親を呼んでレッカー車を手配してもらい引き上げたんだけど、脱輪が恥ずかしくなったのか、え夢ちゃんは家の中に引っ込んじゃってたのよ。そのくらい、親子仲はいいんだけどね」(知人男性)

 3人はなぜODのために集まる必要があったのか。若者のOD事情に詳しいジャーナリストの渋井哲也さんは言う。

「ODは2000年ごろから目立ち始めました。覚醒剤や大麻とは異なり、合法的に購入できるため罪悪感を持ちにくいのが特徴です。高揚感や多幸感を得られると錯覚し、飲むたびに身体に耐性がつくので量が増え、酒やエナジードリンクと一緒に飲むなど命の危険につながりかねない乱用も散見されます。ネット上では、互いに持っている薬を譲り合う“お薬交換会”が行われています」

 事件の全容解明は捜査の進展を待つほかないが、集まった要因のひとつとして薬の交換は考えられる。試飲のような感じだという。

「いろんなスタイルで酒を楽しむようなイメージで、ODもひとりでやったり、みんなでワイワイやったりします。だから決して死にたいわけではない。こんなつらい世界がイヤで、意識がなくなって眠ることのできる“寝逃げ”をしたくてやっている人もいます」(渋井さん)

 亡くなった篠原さんの自宅を訪ねると、父親が玄関先に出てきて、

「話すことは何もありません。わかってください」

 と淡々と言った。

 入江容疑者は「誘拐した覚えはない」と容疑を否認し、金城容疑者は容疑を認めている。どんな事情があったにせよ、罪深き結果を招いた事実は変わらない。