黒柳徹子とタモリの代わりはいない

 ある芸能評論家は、長寿番組の傾向についてこう分析する。

「『のど自慢』や『笑点』などフォーマットがしっかりしたものは、人気が持続するかぎり、司会者を変えてもそのまま継続しやすいのではないでしょうか。『ナイトスクープ』は、上岡さんから西田さんに変わるときに心配の声が多くあがりましたが、そもそもレギュラー探偵たちのキャラとネタが何より大事な番組。それに西田さんがこれまでと全く違うタイプだったことが逆にうまくハマった例だと思います。『生活笑百科』や『アタック25』は“のれん”を守り続けたものの、時代の流れとともにゆるやかにフェードアウトしていった感じですね」

 一方、番組MC個人のキャラクターによって成り立っている番組の引き継ぎはかなり難しくなる。黒柳徹子タモリの番組がそれにあたる。

「『徹子の部屋』や『タモリ倶楽部』は、まずMC交代で番組が続くものではないでしょうね。『ガキ使』もダウンタウン抜きの継続はありえないかと。でも『新婚さんいらっしゃい』は、例え文枝さんから別の人に交代しても、うまく新婚さんをいじるチカラがあれば継続可能かもしれません」(同前)

 また“長寿”という意味では、番組のスポンサーも大きく影響してくる。シオノギ製薬の『シオノギMUSIC FAIR』や、日立の『ふしぎ発見』、資生堂の『おしゃれ』シリーズは一社提供で番組を支えている。

「かつては『サザエさん』や『日曜劇場』は東芝、『水戸黄門』シリーズもナショナル(現パナソニック)一社提供でしたね。複数のスポンサーに切り替える以外は、その企業が元気な限り続く、つまり長寿番組になっていくという一面もありますね」(同前)

 お茶の間に長く愛されてこそ“長寿番組”と言われているが、時代の流れとともに変化を見せているのも現実。メイン出演者の高齢化や、時代背景にあった番組作りから外れてしまったときが「その役割を終えるとき」(同前・芸能評論家)だという。

 いつの時代も、長く愛された番組の終了は少し寂しい。

〈取材・文/渋谷恭太郎〉