羽生結弦に秘策はある?

 羽生が初めてオリンピック王者となった'14年のソチ五輪では、戦いは滑走前から始まっていたという。ソチ五輪にペアの代表として出場し、JOC理事で羽生の幼なじみでもある高橋成美さんは、それを間近で見ていた。

ゆづはもともと身体が繊細なので、現地入りする前から体調管理のためにみんなと離れて行動していて、彼なりのルーティンもあるのでそれを崩さないように周りもすごく気を使っていました

 ソチへ出発する前から、さすがの徹底ぶり。今回はどうなるのだろうか。

「昨年12月の『全日本選手権』では、ほかの選手との会話だけでなく、1人でいてもとにかくしゃべり続けて、周囲と関わりたい様子を見せていました。

 とはいえ、今回の北京五輪は“4回転半の成功”と“3連覇”がかかっていて、今まで以上に強い気持ちで挑む大会。羽生選手ほどの人なら、そんな気持ちを抑えることはできるはず。

 ソチ五輪のように、周囲と別行動をとるという可能性も、十分にあると思いますよ」(スケート連盟関係者)

 そして、'18年の平昌五輪で2度目の五輪王者となった羽生。開催3か月前に右足にケガを負ってしまい、出場予定だった複数の試合を欠場することに。ケガからの復帰戦となったのが、五輪だった。

「ほとんど練習ができておらず、痛み止めを飲んでいたと試合後に自ら明かしていましたが、試合前はひと言も語っていません。“自分は完璧だ、平気だ”と思い込んでやっていたわけです。

 それで、ショートプログラムを見事にこなし、フリーもなんとか滑りました。一方のネイサン選手は、ショートですべてのジャンプでミスが出てボロボロだった。

 それは、羽生選手が見事な演技が“(ケガ明けなのに)できている”というのを見せたからだと思います。ケガの度合いは、世界中の人が知らなかった。それが羽生陣営の作戦だったわけです」(佐野さん、以下同)