なぜ市有地売却が市議会で承認されたのか

「実態の乏しいぺーパーカンパニーではないか」と東恩納市議は疑っている。実際、筆者が現地を訪れると、民家にサーバントの看板が立てかけられているだけ。こんな会社に優良市有地が1億円以上も安値で売却されていたのだ。

転売されたサーバントの所在地を訪れると、民家に看板が立てかけられているだけだった
【写真】市が所有する一等地が格安で転売された会社の実態は…

 地方自治法は2000万円以上の不動産売買は議会の議決に付さなければならないと定めている。なぜ疑問噴出の市有地売却が市議会で承認されてしまったのか。

 跡地売却で採用された公募型プロポーザルは、買い取り価格だけでなく、跡地に建てるホテル計画や地域貢献度などの提案内容にも点数をつける総合的評価方式。比重は価格が2割、提案内容が8割で、選考委員は市役所幹部や商工会会長ら8名が占める。

 しかし、落選した「X社」は名護市を含め県内で10軒ものホテル営業の実績がある。今回のホテル計画も温泉施設併設の独創的なもので、40~50名程度の従業員の雇用を予定するなど地域貢献にも配慮する内容だった。

 それでも選ばれなかったのは、安値をつけた大和ハウス・アベストJVの提案内容がさらに高評価だったためだが、その評価点数一覧表は非公開。各選考委員がどの項目で高い点数をつけたのか具体的に知ることはできない。「市長に忖度した市幹部が恣意的にX社を低評価、JV側を高評価にした」という疑惑を払拭するのは困難だ。

 森友事件との共通点はほかにもあった。東恩納市議は、こう暴露したのだ。

「情報公開によって、市有地売却の説明資料『事業スキーム説明書』が2種類存在していることがわかりました。1つが入札のプレゼンで実際に使用されたもので、もう1つが議会説明用に偽造した疑いのある文書です」

 この文書が決定的な役割を果たした。議会提出文書には、名護市と大和ハウスJVが契約する事業計画図が示され、土地・建物を所有するのは「名護市を所在とする新規法人」としか書かれていなかった。市議たちは当然、JVが地元に新規法人を設立すると理解して承認をしたが、実際には新規法人は設立されず、市長の親族関連会社「丸政工務店」の子会社「サーバント」が金武町から名護市に移転、市有地の所有権を取得した。

 一方のプレゼン資料には、「丸政工務店」の別の子会社である「ホクセイ」の名前が明記され、そこに名護市が土地を売却する事業計画図になっていた。いずれにせよ、市長の親族関連会社の子会社が土地・建物の所有者になることは同じ。この“不都合な真実”を市は隠蔽していた。議会に虚偽の説明をした可能性は極めて高い。

 騙しの手法はこうだ。「市と売買契約を結んだ大企業が地元新規企業を立ち上げ、地域住民を雇用するなどして地元にお金を落としてくれる」という幻想を市議たちに抱かせて議会承認を得た後、当初の予定(プレゼン内容)どおりに丸政工務店の子会社が所有者となるようにするため、サーバントの所在地を名護市に移転させ、民家に看板がかかっただけの会社に土地を買い受けさせることにしたのだ。