体質そのものを改善「舌下免疫療法」

 より新しい治療法が、「舌下免疫療法」。症状の緩和だけでなく、根本的なアレルギー体質を改善する根治療法といわれる。スギ花粉症に有効で、アレルギー物質を少量含んだエキスや錠剤を舌下に処方して徐々に吸収させ、少しずつ症状を緩和させていく。

「2014年から始まった最新の治療法で、現在では国内で10万人ほどの患者さんが利用しています」

 患者の体質そのものを改善していくもので、多少時間は必要になるが花粉症からの完治が見込める。治療を始めておよそ3か月程度で効果が表れ、完治までには最低でも3年ほどは必要。

 その期間中は錠剤が手放せないのでやや根気がいる。一方、その効果も大きく目のかゆみや皮膚のかゆみなどすべてのアレルギー反応が改善される。

 ただしアナフィラキシーショックといわれる強いアレルギー反応の可能性がある。しかし注射でアレルギー物質を投与する以前の方法と比べ、舌下免疫療法でのアナフィラキシーショックは圧倒的に減少している。

【舌下免疫療法とは?】
・アレルギー物質を少量含んだエキスや錠剤を体内に吸収させ抗体をつくる
・保険適用で1か月1000~3000円程度
・くしゃみ・鼻水だけでなく目や皮膚のかゆみも改善
〈こんな人におすすめ〉根本的にアレルギーを治したい人アレルギー検査でスギ花粉症と診断されている人市販薬で効果がみられない人

「薬で症状を抑えるのとは違って、体質などによって効果に個人差が大きいため、医師と相談しながら治療を続けていくことが大切です」

 一昨年から使われるようになった最新の治療法もある。

 それは抗IgE抗体オマリズマブ(ゾレアR)を皮下注射する方法。ただこれは重症・最重症のスギ花粉症患者向けで、現在は、1週間以上の既存治療を試しても効果が認められなかった場合のみ適用されている。

 その持続期間も長期にわたり、結果的に薬の投与頻度が少なくてすむという利点もある。

 ほかの治療法に比べ、薬剤費だけで1か月約4000~7000円と費用は比較的高くなるが、今まで何を試しても効果がなく苦しんできた患者にとっては待ちに待った治療法として注目度が高い。

 花粉症を発症すると、単に鼻づまりやくしゃみなどの症状に苦しめられるだけでなく、外出する気力が失せたり、集中力が続かなくなったりと精神的なストレスも大きい。毎年春になると、暖かくなる喜びよりも、花粉症の心配をしてしまう、という人にこそぜひ医療機関で自分に合った治療法を見つけてほしい。

治療法別にみる効能・メリット・デメリット
治療法別にみる効能・メリット・デメリット
【表で見る】治療法別にみる効能・メリット・デメリット
お話を聞いたのは……大久保公裕先生(おおくぼ・きみひろ)●医師・日本医科大学大学院教授。1959年生まれ、'84年日本医科大学卒業、'88年同大学院耳鼻咽喉科修了後、'91年までアメリカ国立衛生研究所(NIH)留学。現在は日本医科大学大学院医学研究科頭頸部感覚器科学分野教授として、花粉症、特に舌下免疫療法など、新しいアレルギー性鼻炎の治療法の研究・治療に当たっている。