海外へも羽を伸ばして

 昭和後期以降、沖縄や離島などさらに遠方への新婚旅行も普及。1973年には変動相場制への移行や、日本とホノルル・グアム間にジャンボジェットが導入されたことから、ハワイ、グアム、東南アジアなどへの海外旅行も一気に増加していく。

「沖縄が日本に復帰して今年で50年になりますが、特に1975年の沖縄国際海洋博覧会の開催は沖縄への旅行が普及する大きな契機になったと思います。那覇周辺の道路などが整備され、リゾートホテルなどの開発も進んだことで、沖縄でのリゾートウエディング人気が高まるきっかけとなりました。

 また、同時期にワタベ衣装店(現ワタベウェディング)がホノルルに海外1号店をオープンし、日本の“ハワイアン・ウエディング”を開拓するなど、新婚旅行のバリエーションはどんどん広がっていきました」

 1980年代以降は、北米や欧州などの選択肢も増え、新婚旅行は「豊かさの象徴」にもなった。バブル景気や円高の影響が海外ハネムーン人気を後押しするなか、やはり定番はハワイやグアムだ。

「こうして概観するとわかるように、新婚旅行先に選ばれやすいのはやはり暖かい場所。昭和初期には草津ではなく熱海が選ばれ、その後も宮崎、沖縄の人気を経て、現在でもハワイなどの南国がやはり人気です。

 特にハワイは昭和後期以降、数多くの芸能人が新婚旅行で訪れたり、リゾートウエディングを挙げる様子が度々メディアに取り上げられたこともあり、現在も憧れの新婚旅行先です

 その後、現在に至るまで新婚旅行の在り方はますます多様化している。結婚式の披露宴でのフォトスライドに使用する“映え写真”を撮りに行く婚前プチ旅行や、旅先でウエディングドレスを着て写真を撮る“ハネムーンフォト”といったプランも人気だ。

「現代の新婚旅行は、夫婦になるための通過儀礼としての意味合いは薄れ、ふたりで過ごすかけがえのない一瞬を撮影する記録の旅といった側面が大きいかもしれません。そのロケーションとしても“映えスポット”の多いハワイなどの南国は、格好の旅行先といえるかもしれませんね」

 コロナ禍や円安の影響も長引くなか、今後の新婚旅行のトレンドがどう変わっていくのか、興味は尽きない。