【転倒】救急搬送の8割が「転ぶ」事故が原因

室内の障害物など転ぶ原因を排除

 東京消防庁管内の高齢者事故の救急搬送データによると、2015年からの5年間で転倒などの「転ぶ」事故が全体の8割以上、発生場所は「屋内」が9割以上を占めている。

「親と離れていればなおさら転倒への注意が必要です。親の家をチェックして、転倒しない住環境を整えましょう」

 高齢の親は屋内のちょっとした段差などにつまずきやすい。認知症を患った場合には、そのリスクがさらに高まる。左ページに掲げるような転倒防止策を実行すべきだという。

「ホームヘルパーなど家に出入りする人に声をかけ、床にモノを置かないなど転倒防止の住環境を維持することも大切です」

 一方、バリアフリー化のリフォーム工事を行う選択肢もある。その際、介護保険の住宅改修助成制度を受けられるかどうかをチェックしたい。

「手すりの取り付けや段差をなくすスロープの設置などは同制度の支給対象となる場合があります。改修工事を依頼する前に、介護保険のスペシャリストであるケアマネジャーに相談してください

転倒防止のためにできること
・スリッパを履かない
・玄関で靴の脱ぎ履きに使う椅子を置く
・2階のものは1階に移動させておく
・夜間用に段差に蓄光テープを貼る

【火事】火災警報器の電池寿命は要確認

IHコンロ導入は適性を見極めて

 高齢になると注意力が低下し、火事を起こす危険性が高まる。そこで心配なのは親の家の火の元。消防庁の調査(令和3年版、消防白書)によると、住宅火災発火源は1位たばこ、2位電気器具、3位ストーブ、4位コンロと続く。

「消防法により設置が義務化されている住宅用火災警報器の有無を調べましょう。警報器の電池寿命の目安は10年なので、定期的な動作確認も忘れずに。わが家は1台の警報器が火災を感知すると、ほかの部屋の警報器も連動して通知する連動型を選択しました」

 先の発火源4位のコンロは消し忘れが原因。IHクッキングヒーターの導入などで問題は解決する。

「ただし、うちはIHを導入しませんでした。認知症の母には操作が難しく、今から替えると料理するのをやめてしまい自立を妨げると思ったからです。代わりに選んだのは自動消火機能のついたガスコンロ。母の場合、料理中にガスをつけたままどこかに行ってしまうことがあるのですが、自動消火してくれるため、火事には至りません。安心ですよ」