ではなぜ、彼は王子様になりえたのか。カッコいい、優しい、賢い、スポーツが得意など、モテる男の条件はさまざまだが、1980年代あたりから「面白い」というのも上位にきている。

モテる男の条件に「面白い」

 モテたくて芸人になるという男も増え、M-1チャンピオンでもある井上はまさにその勝ち組。見染められた地方の女子高生が彼のことを「運命の人」だと思ったとしても、不思議はないわけだ。

 しかも、テレビでの再会から11か月後、井上はひき逃げ事故で謹慎。ただ、4か月後には復活した。このあたりも、彼女に優良物件だと感じてもらえたのではないか。

 なお、この復活については興味深い指摘がある。『さまぁ~ず論』(テレビ朝日系)でのこと。平成ノブシコブシの吉村崇が、不祥事から帰ってくることができた人として井上と狩野英孝を挙げ、さまぁ~ずの大竹一樹がその共通点をこう分析した。

「ナルシスト。みんなが憧れない人。かわいげがある人」

 ちなみに、井上は「ポジティブナルシスト」としても知られるが、狩野も同類だろう。こういうキャラは、自分で笑いにできれば無害だし、意外とモテたりもする。年下の美人妻もゲットできるし、8股交際も可能なわけだ。

 その「ポジティブナルシスト」についても、今回のことでどこまでキャラなのか、ますますわからなくなった。案外、素でやっていたりするのではないか。なにせ、面白いことはモテ男の条件で、井上はその強者なのだから。

 とはいえ、彼が王子様であることに釈然としない人もいるだろう。しかし、女の子はみんなお姫様、などというように、男の子もみんな王子様、であってもよいはずだ。自分で書いていてもちょっと気持ちが悪くなってきたが(苦笑)。

 こうなったら、アンガールズの田中卓志やアインシュタインの稲田直樹にも続いてほしい。モテの価値観をどんどん混乱させてもらおうではないか。

PROFILE●宝泉薫(ほうせん・かおる)アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)