3月23日、日本の国会でオンライン演説をするウクライナのヴォロディーミル・ゼレンスキー大統領
3月23日、日本の国会でオンライン演説をするウクライナのヴォロディーミル・ゼレンスキー大統領
【写真】「ヘルメットにクラスター爆弾の破片食らってた」写真付きでツイートする日本人義勇兵(Gangsta氏)

漫画やゲームについて発信する場所は命がけの戦場

 Gangsta氏のつぶやきの多くは、気になるネットゲームに関するものや好きな漫画の切り抜きが多い。たとえば、10月8日のつぶやきはたかしげ宙原作・皆川亮二作画の漫画『スプリガン』の人気キャラクター『ボー・ブランシェ』の引用だった。

 ボー・ブランシェは敵キャラで外国人ながら日本のアニメやゲームをこよなく愛し、アニメやゲームに登場した技を元に実戦に活用していた。

 ボー・ブランシェが『竜巻風陣脚』という技を放ったあとの「見たか! これが俺が日本のテレビゲームを見て編み出した技だ」というセリフに呼応して、gangsta氏も「FPS(シューティングゲームの一種類)で習って実戦で役だった技が実はある」とツイート。ボー・ブランシェと自身を重ね合わせているのかもしれない。

 また別の日には、作者佐藤タカヒロ氏が41歳の若さで亡くなったために未完に終わった大相撲漫画『バチバチ』シリーズの一節から引用。「必死こいて努力ってのをしてねー奴に運なんてやってくるかよ」「運を持ってる奴ってのは、それ相応の実力も持ってるもんだ」「運なんてもんは、力尽くで手に入れるもんだからな」

 ロシア軍を支持して、Gangsta氏を「人殺し」と非難する相手に対して、三家本礼作「血まみれスケバンチェーンソー」の一節、「ファンとはファナティック=狂信者であり、勝手に去ることは許されない」を引用して、「戦後どうなろうとロシア、ウクライナ支持していた責任は取ろうね。逃げないねで(原文ママ)」と返した。

 またこのツイートのリプライから木々津克久作『フランケン・ふらん』や伊藤潤二、御茶漬海苔などのホラー漫画も好きであるとも言及していた。

 バトル系や格闘系、ホラー漫画に傾倒しており、それらのセリフを血肉にしているのがうかがえる。

 漫画やゲームのツイートばかりだと日本にいるオタク系男子のつぶやきかと勘違いするが、しばらく「水と道中のリンゴしか食べていない」とつぶやいたり、9月30日にはクラスター爆弾に被弾しており、脳しんとうで10分間動けなかったという。やっと立ち上がれたときにはヘルメットの装備が吹き飛んでおり、その様子が生々しくTwitterで伝えられている。

 しかし、立ち上がった彼が前面に抱えていたリュックには荒木飛呂彦作『ジョジョの奇妙な冒険』のロゴワッペンが着いていた。筋金入りの漫画好きが分かると同時に、間違いなくGangsta氏がいる場所は、いつ死んでもおかしくない戦場であることが分かる。