書類を出すだけでお金がもらえる、戻ってくる

 介護の程度が進み、要介護認定が4または5など、ほぼ寝たきりになると、国からもらえる特別な手当があることは、実はあまり知られていない。

〈裏ワザ4〉「寝たきり」になるともらえる年32万円の手当金

要介護の段階認定で受けられる福祉サービスは自治体によって違うことも(イラストはイメージです)
要介護の段階認定で受けられる福祉サービスは自治体によって違うことも(イラストはイメージです)
【写真】親の介護は「申請するだけ」「書類出すだけ」で金銭的負担が軽くなる

「『特別障害者手当』といって、重度の介護を必要とする場合に受給できる可能性があります。これは行政でいうと介護ではなく障害福祉の管轄なので、ケアマネさんでも知らない人は大勢います

 対象者や扶養者の所得制限はありますが、月額2万7000円弱(2022年度)で、年額で32万円以上の手当になるので、もらわない手はありません」

 実際、太田さんの著書でこの制度のことを知り、寝たきりの父親を持つ息子さんがダメ元で役所の窓口に相談したところ、無事に受給できたという例もあるという。

 特別養護老人ホームに入っていると対象から外れるが、民間の有料老人ホームに入居している場合でももらえる。要介護4~5と認定されたら、ただちに親の住む自治体の障害福祉の窓口に相談を。

〈裏ワザ5〉父親が死んだら介護費が大幅減になる書類を出すべし!

 父親が亡くなり、母親が国民年金だけになると年金額はそれまでの約6割に減ってしまう。生活がたちゆかなくなるのではと心配だが、

「再婚していなくて世帯所得が500万円以下であれば『寡婦控除』を受けることができます。〈裏ワザ1〉で紹介した『税法上の障害者』と同じように『税法上の寡婦』となり、課税されている母親も非課税世帯になる可能性が高いです」

寡婦控除の申請をすることで介護費は大きく抑えられる(写真はイメージです)
寡婦控除の申請をすることで介護費は大きく抑えられる(写真はイメージです)

 そうなれば医療費、介護費ともにぐんと安くなる。

「ですが、これも年1回送られてくる『扶養親族等申告書』の『寡婦』の欄にチェックしたうえで返送することが条件。親がよくわかっていない場合も多く、子どものサポートが大事です」

 たとえ母親がひとり残されても、金銭的な不安がかなり軽減されるのだから、難しそうな書類も敬遠せずに積極的に確認したい。

教えてくれたのは……

太田差惠子さん
「介護とお金」に詳しい介護・暮らしジャーナリスト。著書に『親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと』など多数。

取材・文/野沢恭恵