家族にのませたくない薬【アレルギー性鼻炎薬】

「知らない間に鼻炎依存症に」

 ホコリや花粉で鼻水やくしゃみに悩まされるアレルギー性鼻炎。このアレルギー性鼻炎に効くの多くには、せき止めと同様のリスクがあると谷口先生は次のように言う。

「例えば、アレルギー性鼻炎で処方されることが多い『ディレグラ』というには、極めて依存性の高い危険な成分『プソイドエフェドリン』が含まれています。当院を受診した患者さんにも、どうしてもディレグラを処方してほしいと言って聞かない人がいました。知らない間に依存症になってしまっているのです」

 ディレグラは市販ではなく、医師の処方するのはずだが、どうしてこのようなことが起きてしまうのだろう。

「長期間ディレグラを服用している患者さんのほとんどは、医師から危険性を知らされておらず、医師も漠然と処方し続けていることが多いです。この依存症の治療は極めて困難。医師に含まれる成分の危険性をしっかり認識すべきです」(谷口先生)

家族にのませたくない薬【胃痛や胸やけの薬】

「胃酸が減りすぎて消化しづらくなる」

 多忙な年末にかけて、胃痛や胸やけなどに悩まされる人も少なくないだろう。これらの症状に使われるのは、おもに「制酸剤」と呼ばれる胃酸の過剰な分泌を抑える胃だ。胃痛や胸やけに制酸剤を処方しがちな現状について、寺田武史先生に話を聞いた。

「胃痛や胸やけは、さまざまな原因で起こります。胃酸の分泌が多いだけでなく、ストレスやピロリ菌、胃の粘膜の荒れなど、原因を慎重に見極めて対応すべきです」

 では、原因がよくわからない場合、念のため制酸剤をのんでおくのは問題ないのだろうか。

消化器内科で胃カメラを年間何百例もやっていますが、胃酸の分泌が多い日本人はほとんどいないように感じます。なのに制酸剤を使って胃酸の分泌を減らせば、ただでさえ悪い消化吸収の能力がさらに下がってしまいます。

 消化不良を起こすと、胃の痛みやもたれ、吐き気などだけでなく、栄養の吸収もしづらくなります。栄養をとることこそ病気を防ぐ第一歩なので、これでは本末転倒です」(寺田先生)

 とりあえずという気持ちで制酸剤をのむのは避け、まずは原因を探るのがよさそうだ。

家族にのませたくない薬【高血圧の薬】

「血圧を下げすぎると別のリスクも」

 70歳以上の女性の2人に1人がのんでいる身近な高血圧のである降圧剤。しかし、降圧剤を使って血圧を下げすぎてしまうと別のリスクが生まれる、と寺田先生は言う。

「年齢や持病などによっては血圧を極力下げる指導をされることもありますが、降圧剤で血圧を下げすぎてしまうと、身体全体に血液を送るポンプである心臓に負担がかかります。心肥大につながったり、脳の血液の循環が悪くなり、逆に脳梗塞や認知症のリスクが上がったりすると考えられます」

 では、血圧が気になりはじめたら、どのように対処するのがよいのだろうか。

「私は、安静時の血圧は上が130〜140mmHg、下が80〜90mmHg程度がベストと考えています。それよりも血圧が少し高めで血圧のほかに問題がない患者さんには、『にがり』をとることをおすすめしています。

 にがりに含まれるマグネシウムは、血管を縮めたり、動脈硬化を引き起こしたりするカルシウムの働きを抑え、血管を広げてくれます。にがりは天然の降圧剤ということができるのです」(寺田先生)

「にがり」の健康効果 ※とりすぎには十分注意しましょう。
・高血圧の予防
・狭心症や心筋梗塞の予防
・生活習慣病の予防
・便秘の改善など