それにしても、出川といえば90年代から00年代にかけては「嫌いな男」「抱かれたくない男」の上位常連タレントだったはずが、気づけば好感度タレント、今のバラエティーに欠かせない愛される存在となった。

「第7世代」がすでに“ひとつ前のブーム”になってしまったように、移り変わりの早い世界で、なぜ出川は好感度を獲得し、なぜ次々と新しい「愛される場所」を見つけられるのだろうか。

出川哲朗の最大の武器

「出川さんの人間性、人としての魅力に尽きると思います」というのは、人気バラエティーを手掛ける放送作家。

人との触れ合いの中でにじみ出る“いい人”な部分が大きな魅力ですよね。決して100%の善人ではないだろうけど正直者なんです。基本的にすごくポジティブで、言っちゃいけないことを素直に言っちゃって、それを自分でフォローしようとして墓穴を掘ることもありますが、でもそのフォローがポジティブでおもしろいんです。

 小学生が見ても爆笑できるリアクションとコメント、そしてわかりやすく噛む。そうした子どもっぽさとおじいちゃん ぽさを兼ね備えたところが単純に面白さにつながっているんだと思います」

 出川が“愛されキャラ化”する背景には、いじられる側の存在として、キャリアを重ね続けてきたことも大きいという。

「普段はキャリアを重ねることで、ある程度、常識的になるのですが、出川さんの場合は真面目に正直にやることで鈍感力が磨かれている気がします」(同前)

 まさに、出川哲朗のままでい続けることが、彼の最大の武器のようだ。

〈取材・文/渋谷恭太郎〉