シリアスな高田純次を見られるのはココだけ!

 シリーズが長期化するにつれ、俳優も年を重ねる。そのためメインキャストの顔ぶれも変遷した。

 大きく変わったのは2回。主人公・十津川警部は1981年放送の第1回から33回までを故・三橋達也さんが演じ、2000年から高橋英樹に引き継がれた。亀井刑事役も同様に、2012年に故・愛川欽也さんから高田純次に交代している。

 前出の大野教授はこう話す。

シリーズ初期には、十津川警部を演じる三橋さんの年齢を考慮して、部下の亀井刑事が動き回ることが多かった。犯人の足取りを推理した亀井刑事は全国津々浦々、旅先の公衆電話から十津川警部に報告するんです。まだ携帯電話もインターネットもなかった時代ですから。

 そういえば2代目の十津川警部を演じる高橋英樹さんは最近、“十津川警部もスマホに替えた”とお話しされていましたね(笑)」(大野教授、以下同)

 主人公が高橋英樹に交代してからは、浅野ゆう子演じる十津川警部の妻が登場したり、亀井刑事と心の交流を図ったりと、人情噺的なストーリーも増えた。

「本格ミステリーであることを重視するスタンスは変わりませんが、バラエティー番組などで見せる、高橋さん自身の持つ明るさがドラマに影響したのだと思います。
特筆すべきは高田純次さん。シリアスな高田さんを見られるのは『トラベルミステリー』だけ! あの高田さんが笑顔ひとつ見せず、終始真剣な面持ちで亀井刑事を演じているんです。俳優・高田純次の妙味を堪能できます」

 シリーズを通じて最も出演回数が多かったのは、意外にも主人公ではない。

「男性では、5回から68回まで出演した森本レオさんが最多。十津川班の西本刑事を演じていました。

 北条刑事役の山村紅葉さんも息の長いレギュラー俳優陣のひとり。最近はボケ役というか、コミカルな役回りの多い山村さんが、当初は精悍で優秀な女性刑事だったことにも時代の変遷を感じます」