個人のスキルより長時間シフト重視

 隣の若い男性OPたちは宿泊施設の予約など難易度が高い案件をほかのOPに転送するように命じられていた。スキルで考えれば、彼らをサポートしていたエリカさんと男性が重用されるはずなのだが、次回の更新はされなかったという。

「OPの間で更新の基準についてさまざまな臆測が飛び交いましたが、いちばん信憑性が高かったのは、長時間勤務が可能なOPを残しているという噂でした」(エリカさん)

 自治体のコロナ案件では席数確保が最重要課題。そのため、長時間勤務のOPを雇ったほうがセンター側のメリットになるのだという。

「8時から21時勤務のシフトには早番、遅番、そしてオールの“通し”があり、週5の通しや、早番と遅番と通しを組み合わせたOPが残っています」

 さらにこのセンターでは100人在籍のOPにスーパーバイザー(OPの管理や指導を行う。以下、SV)が数人だけで、別室待機の15~20人のOPに対してSVが4人もいたという。

 またサッカーワールドカップの動画を就業中に見て騒いだOPはSVにとがめられずに、そのまま在籍している。「個人のスキルではなく、人員の確保が最優先なのか」とエリカさんの表情は暗い。OPほかSVやリーダーも歴任した前述の東さんはセンターの管理体制への危機感を訴える。

「基本的にOPは、1列に並べられた席で業務に就き、その列ごとにSVが1人常駐します。仕事ができないOPを研修でスキルアップさせず放置しているのは、センターがその場しのぎの業務と割り切っているのでしょう」

 一方、センターの緩い管理体制がモンスターOPを放置しているケースもある。

「ある自治体のコールセンターで、受電が少ない時に隣の50代女性OPが不快なことを話しかけてきて。YouTubeで見聞きした暴露話やフェイクニュースで、特に気持ち悪かったのは性が絡む根拠のないスキャンダル。アメリカの元大統領の妻が男だとか、今の副大統領は男だとかもう気分が悪くて」

 と語るのは、主婦でOP歴3年の明日香さん(仮名・38歳)。明日香さんは翌日、ストレス性の血管性浮腫と診断された。医師からは、病気の原因と考えられるOPとの接触を避けるように指導された。

「SVに報告して、部屋も違う別の部署に移ってほっとしました。その後、問題のOPは自分が気に入らないという理由で、男性SVをでっち上げの女性スキャンダルに陥れて、解雇に追い込んだと聞いて唖然としました」

 モンスターOPは自分が責められないように先手を打って、センター長やリーダーに取り入っていたという。闇が深すぎるOPにはとがめが一切ないというのも、恐ろしい。

 センターだけでなく、派遣会社のむごい対応によって、OPがさらに苦境にさらされることもある。