オンナたちの「転落実情」

 年金の知識がない、生活レベルを下げられない……

case1:離婚で困窮、年金未納のツケが老後の生活に降りかかる

 河合里美さん(仮名・63歳)の転落は40代、夫との離婚から始まった。離婚後はパートで働きながら子育てを行い、なんとか無事に子どもを独立させた。老後が近くなった60代前半のとき、今度は自らの生活が不安に。

 シングルマザーを対象とした某市主催の無料マネーセミナーに参加し、講師を務めた福一さんにその思いを吐露した。

「河合さんの将来の年金額は月5万円にも満たない状態でした。パート収入が月10万円ちょっとで家計をやりくりできず、国民年金の支払いを免除申請していた期間があったからです。

 いまも変わらず働いているものの、低収入ゆえ貯金もごくわずか。住まいは賃貸アパートでした」

 元夫は会社員で厚生年金に加入。婚姻期間中の年金を分割してもらえる制度を利用していたら、多少救われていたかもしれない。

「ただ、河合さんが離婚を考えていた当時は、現在の年金分割の制度は整備されていなかった。不運というしかありません」

 今後、どうすればいいのか。福一さんは次のようにアドバイスした。

「免除申請した年金は過去10年までさかのぼって追納できるので、可能なら追納して年金を厚くする。同様に年金を増やすべく、今からでも厚生年金に加入できる働き方をする。

 一方で家賃を抑えるために市営住宅または県営住宅に申し込む。大きくこの3つが叶えば、老後に光が見えてくるでしょう」