case2:「教育費だけは惜しまない」妻の方針が老後の落とし穴に

 世帯年収1500万円以上と、裕福な現役時代を過ごした峰岸さん夫婦(仮名・60代)。2000万円余りの貯金に退職金約2500万円も得てバラ色の老後を迎えるはずが、待っていたのは正反対の事態だった。有料相談で事情を聞いた福一さんが明かす。

「教育熱心な奥様は2人の子どもを中高から大学まで私立へ通わせました。老後すぐ、1000万円近い教育ローンと、同程度の住宅ローンが残っていたものの、退職金で完済。

 もう安心と思いきや、奥様主導で海外旅行やリフォームの計画が進み、退職金もわずか1年でなくなってしまった。十分な金額を手にしていた貯金や年金も、奥様が老後の生活レベルを下げられず、次第に赤字の日々に……。

 相談を受けて将来のキャッシュフローを試算したら、ご夫婦が75歳のときに家計は破綻するという結果でした」

 その後、妻は生活改善の受け入れにより、現在、家計は安定しているとのこと。

「女性はプライドが高く、周囲の目を気にします。そういった意味では、女の見栄は老後破産の第一歩かもしれませんね」

福一由紀さん●ファイナンシャルプランナー。関西発の女性FP集団「マネーラボ関西」を設立し、女性のための等身大のマネー情報を発信している。Allabout「仕事・給与」ガイドなども務める。
福一由紀さん●ファイナンシャルプランナー。関西発の女性FP集団「マネーラボ関西」を設立し、女性のための等身大のマネー情報を発信している。Allabout「仕事・給与」ガイドなども務める。
教えてくれたのは……福一由紀さん●ファイナンシャルプランナー。関西発の女性FP集団「マネーラボ関西」を設立し、女性のための等身大のマネー情報を発信している。Allabout「仕事・給与」ガイドなども務める。

(取材・文/百瀬康司)