必勝しゃもじのメッセージ

 しかし、このしゃもじには岸田首相なりのメッセージが込められているのかもしれない。観光業界の関係者が解説する。

しゃもじは、岸田首相の地元・広島の名産品です。それこそ『必勝』や『商売繁盛』、『家内安全』といった文言が書かれたものが販売されています。岸田さん自身も自民党総裁選のとき、広島県連から『祈必勝』と書かれた特大しゃもじをプレゼントされました

 なぜ、しゃもじが縁起物とされているのか。

「『飯(めし)とる』が転じて、『(敵を)召し捕る』となり、必勝祈願の縁起物とされています。日清・日露戦争の時代には、兵士たちは戦勝を願って厳島神社を訪れ、しゃもじを奉納したそうです」(前出・観光業界関係者)

 岸田首相は、こういった歴史的背景を踏まえて、ゼレンスキー大統領にしゃもじを贈ったとも解釈できる。しかし、だからこその批判もある。

「『ぴったりの縁起物だ』と褒める声もありますが、“戦勝祈願”、しかも日露戦争に繋がる背景を持つものということでの危惧もあります。《意味が重すぎる》《そんなに好戦的なメッセージで大丈夫か》といった批判も寄せられています」(前出・全国紙記者)

 新たな火種を生むことにならなければいいが――。