病院と自宅での検査精度の違いはある?

 検査キットを使う上で気になるのが精度。病院での検査に比べてどうなのだろうか?

「第一段階の検査に関しては、どちらもあくまでもがんのリスクを調べるものであり、病院か自宅かで精度の差はありません。

 例えば病院で血液検査をしても、わかるのはがんのリスク値。値が高ければ要精密検査となりMRIやCTなどの検査をし、最終的には細胞診をすることで“がん”と診断されます」

 検査キットと病院の検査の使い分けは?

「特にがん家族歴があるなら、定期的な検査を行ったほうがいいので、自宅検査キットで年1回はチェックを行うと安心。そこで異常が見つかったら、病院で精密検査を。検査のハードルが低い自宅キットを活用してください」

信頼できる検査キットの選び方

 自分で検査というと、ちょっと不安に感じてしまうが、どのような手順で行うのだろう?

「血液、唾液、便など、どれか一種の検体を検査するタイプが多いです。検査キットは誰でも簡単に採取できるように工夫されているので、初めて利用する人でも心配いりません」(植田さん、以下同)

 採取するものはさまざまあるようだけど、一番精度が高いのはやはり血液?

「血液だから精度がいいということはありません」

 血液は身体の情報を一番多く持っているので、がん検査によく使われる検体だが、他の検体もそれぞれに情報を持っている。

 唾液ならがん細胞が増殖すると発生するポリアミンなどの成分を解析するのに有効。便は大腸に疾患があると大腸内で出血することがあるため、その血液が検出できる。

 尿はがんの進行に役割を果たすマイクロRNAを調べる場合などに有効だ。痰をとって肺がんを検査するものや、膣内の細胞をとって子宮頸がんを検査するものなどもある。

がんリスクの何を調べるかによって、検査に使う検体が違ってきます。それぞれの精度を単純比較することはできないし、特定のがんリスクがわかる検査と、複数のがんリスクがわかる検査で精度が違うということもありません」