シンシアのデビュー曲はドラマの主題歌にも採用

 レコード会社がビクターエンタテインメントに決まり、1993年12月、シングル『FEEL ME』でメジャーデビュー。

 このとき初めて「シンシア」と名乗った。歌手・シンシアの誕生だ。

 まだレコードの時代で、初回は8000枚からのスタートでした。新人の場合5000〜7000枚が通常のケースなので、事務所やレコード会社の期待が高かったのだと思います。

『FEEL ME』は吉川(君島)十和子さん主演の昼の連ドラ『あなたが好きです』の主題歌に採用されています。

シンシアの曲がドラマに使用されたのはデビュー曲だけでなく、『DAY AFTER DAY』は'94年にTBSで放送された常盤貴子主演のドラマ『カミング・ホーム』のエンディングにも使用された
シンシアの曲がドラマに使用されたのはデビュー曲だけでなく、『DAY AFTER DAY』は'94年にTBSで放送された常盤貴子主演のドラマ『カミング・ホーム』のエンディングにも使用された
【写真】’94年に常盤貴子主演のドラマに使用されたシンシアの曲『DAY AFTER DAY』のジャケット

 デビューと同時に、キャンペーン・ツアーが始まりました。北は北海道から南は九州まで、全国各地を回っては、地元のラジオ、テレビ、新聞、タウン誌、レコード店、有線放送と、各所へご挨拶に伺います。

 なかでもあのころは有線放送が大きな力を持っていて、有線でヘビーローテーションされると売れる、というヒットの法則がありました。

 有線放送の事務所には曲をかける女性たちが各局にいて、新人歌手は彼女たちに気に入ってもらうことが大切です。

 来る日も来る日も愛想を振りまき、笑顔でサインし、オウムのように自己アピールを繰り返す。曲を知ってもらうためには必要な作業とはいえ、キャンペーンは苦痛を伴う時間でした。

 歌が好きなだけでは済まされない。商業的な成功が重要で、そのためにすべきことがある。メジャーの現実はシビアで、シンシアの思いとは大きく違った。

 デビュー曲『FEEL ME』はバラードでした。けれど私自身は洋楽への憧れがあって、ジャパニーズ・ポップスに対する抵抗を感じていました。

 アメリカンポップスのような楽曲を歌いたい、何で私が歌謡曲を歌わなきゃいけないの?という思いも正直ありました。(次回に続く)

(取材・文/小野寺悦子)