60歳過ぎたら不活化ワクチンで予防

 帯状疱疹を防ぐためには栄養バランスがとれた食事、適度な運動、良質な睡眠、ストレスを避けるなど、一般的に免疫力を下げない生活を送ることが重要だが、効果的な対策はワクチンだ。

「帯状疱疹には生ワクチンと不活化ワクチンの2種類があります。生ワクチンは、1回の接種で約5年持続、不活化ワクチンは2回の接種で約10年持続します。

 費用は1回あたり生ワクチンが1万円程度、不活化ワクチンが2万円程度。ただし、生ワクチンは60歳以上になると予防効果が低くなるため推奨しません」

 早急に予防接種を受けたほうがいいケースとは。

「家族に帯状疱疹にかかったことがある人、糖尿病、がん、膠原(こうげん)病 リウマチ、慢性呼吸器疾患、慢性腸疾患など基礎疾患がある人は、ワクチン接種をしておくことをおすすめします」

 ただ、ワクチンの定期接種で水ぼうそうにかかる人が激減することにより、水ぼうそうのウイルスが原因となる帯状疱疹も、将来的には稀な病気になると専門家たちは予想している。現在においては、合併症や後遺症に苦しまないよう何よりも予防が大切だ。

帯状疱疹悪化の怖い症状
・帯状疱疹後神経痛

 帯状疱疹の後、痛みだけが3か月から長いと5~10年続くことも。焼けつくような痛み、電気が走るような痛み、触れるだけで痛いアロディニア痛(異痛症)が特徴。
・ラムゼイ・ハント症候群
 顔面まひ、難聴、めまい、耳鳴りの症状が出る。投薬治療により回復するが、一部でまひが残ることもある。
・脳炎
 脳にウイルスが侵入し、意識障害、幻覚、人格障害などを発症。脳の血管に肉芽腫。
その他の怖い症状
 視力低下、眼球運動障害、失明、膀胱直腸障害、上肢運動障害

松尾光馬先生●まつお こおま。中野皮膚科クリニック院長、皮膚科医、医学博士。東京慈恵会医科大学卒業後、同大学講師を経てクリニックを開設。日本皮膚科学会皮膚科専門医、日本性感染症学会認定医。日本で数少ない帯状疱疹の専門家。
松尾光馬先生●まつお こおま。中野皮膚科クリニック院長、皮膚科医、医学博士。東京慈恵会医科大学卒業後、同大学講師を経てクリニックを開設。日本皮膚科学会皮膚科専門医、日本性感染症学会認定医。日本で数少ない帯状疱疹の専門家。
【写真】帯状疱疹の実際の写真と罹患を公表した芸能人たち
教えてくれたのは……松尾 光馬先生●まつお こおま。中野皮膚科クリニック院長、皮膚科医、医学博士。東京慈恵会医科大学卒業後、同大学講師を経てクリニックを開設。日本皮膚科学会皮膚科専門医、日本性感染症学会認定医。日本で数少ない帯状疱疹の専門家。

(取材・文・イラスト/ますみかん)