在宅ホームヘルパーの心の叫び

 現場のホームヘルパーからの悲痛な声が介護職向けメディア「ケアきょう」にも届いている。相談者は40~50代からが多いが、20代からの相談も。

セクハラ

 片半身が麻痺している男性利用者さん(70代)は介助中に執拗に身体を触ってきたり、私の衣服の中に手を入れようとします。
 注意をすると「あなたにつかまっているだけ」と。さらに、おむつ交換時に自慰行為の手伝いをしろ、陰部を触ってほしいなどの要求もされます。一人で介助に行くのをなるべく減らしていますが、人手不足で難しい時も多いです。
 上司に相談しても「注意します」と言うだけで、改善されません。労基にも相談をしましたが、患者ということで難しいと言われました。(女性)

 訪問介護中に男性利用者が性処理を強要してくるのは犯罪にあたりますか? 私は断りましたが仕方なくしている職員もいるようです。(男性)

暴力

 利用者さんの暴力で首と腰のケガをし、現在休業中です。利用者さんは認知障害の症状があるため、訴えることもできません。
 休業中の給料の申請は、どう頼めばいいかわからない状態です。労災は申請しましたが、振り込みはかなり遅くなり、ケガもなかなか治らずに毎日痛み、生活に困っています。好きな仕事だったのですが、ガックリきています。(女性)

過剰要求

 以前勤めていた事業所では、介護保険外のことも「利用者の要望であれば」やるように言われました。例えば粗大ゴミの搬出や、どうしてもこれじゃなくては嫌だという買い物(例えば、お茶の銘柄指定)といった、介護とは関係のない仕事です。
 しかし、自宅にすみ着いた動物の処理をさせられたときは、悔しくて涙が出ました。利用者は神様なのでしょうか? この一件があって、6年間ほど働いていた訪問介護の仕事を辞めました。(女性)

※個人が特定されないよう一部改変・加工しています

教えてくれたのは……

高口光子さん●介護アドバイザー。元気がでる介護研究所代表。介護スタッフの人材育成等に携わりつつ、講演やメディアで提言を行い、現場の変革を求めて活動中。
高口光子さん●介護アドバイザー。元気がでる介護研究所代表。介護スタッフの人材育成等に携わりつつ、講演やメディアで提言を行い、現場の変革を求めて活動中。
【写真】在宅に限らず介護職が悩む“セクハラ”と、気性の荒さが目立つ高齢者
高口光子さん●介護アドバイザー。元気がでる介護研究所代表。介護スタッフの人材育成等に携わりつつ、講演やメディアで提言を行い、現場の変革を求めて活動中。
向笠元さん●カイゴメディア代表。介護職のためのコミュニティサイト「ケアきょう」を運営。相談窓口を開設し、キャリア紹介なども実施。【YouTube】@carekyo
向笠元さん●カイゴメディア代表。介護職のためのコミュニティサイト「ケアきょう」を運営。相談窓口を開設し、キャリア紹介なども実施。【YouTube】@carekyo
向笠 元さん●カイゴメディア代表。介護職のためのコミュニティサイト「ケアきょう」を運営。相談窓口を開設し、キャリア紹介なども実施。【YouTube】@carekyo

(取材・文/宇野美貴子)