子宮内膜ポリープと慢性子宮内膜炎の判明

 最先端の不妊治療を調べるため、時には海外の文献にもあたったという小松さん。病院も定期的に変更し、自分に合う病院探しを諦めなかった。

 45歳のときに採卵した4つの受精卵を冷凍保存した後、仕事の都合などもあり、いったん治療を休むことに。さらに47歳のときには移植前の検査で子宮内膜ポリープと慢性子宮内膜炎が見つかり手術を受けた。そのときは自身でも妊娠を諦めようかと考える瞬間もあったという。

「現実問題として、1回に採卵できる数がどんどん少なくなっていました。私も心のどこかで、採卵ができなくなったら諦めようと思うようになりました。逆に言うと、採卵できるうちはとことん頑張ろうと。卵があるうちに諦めたら、一生後悔するとわかっていたんです」

 48歳で治療を再開し、保存していた受精卵を移植することに。実は小松さんは冷凍保存する受精卵に関して、着床前診断を受けていた。着床前診断とは、体外受精をして得られた受精卵の一部を採取し、染色体の本数や構造に異常がないかを調べるPGT―Aと呼ばれる検査のこと。

「いくつかの条件が当てはまらないと着床前診断を受けることができないのですが、私の場合は反復ART不成功といって、着床しても妊娠が継続できなかったことが数回あったので、診断を行えた。

 4つの受精卵の染色体検査を受けて、一番確率の高い受精卵を選び身体に戻すことができました。今度こそ絶対うまくいくという安心感もあり、終始すごく前向きに出産に取り組むことができました。不妊治療を受けているすべての人に適用してほしい検査だと痛感しています」

 妊娠12週未満の初期に起こる流産の主な原因は「胚の染色体異常」といわれており、この着床前診断を行うことで染色体異常のある胚を避けて移植することが可能となる。着床前診断を受けたことで、小松さんは、今までの自分を責めなくてもいいんだと、思えたという。

「これまでの流産は、私の身体が悪いんじゃなく、受精卵の染色体異常があったのだから仕方ないことだったと理解できて、私自身すごく納得がいきました」