彼女の主張はただの結果論であり非常に暴論

 筆者の個人的な価値観で言えば、あやなんの主張の一部は理解できる。

「緊急事態宣言中でも大人数で飲み会をやってなにが悪い!」という強い信念があるのであれば、大宴会すればいいと思う。

 新型コロナ感染を広めてしまって医療従事者に多大な迷惑をかける可能性や、家族や友人など周囲の大切な人が感染で苦しむリスクや、大多数の人から猛烈な批判を喰らうことなどを、きちんと“覚悟”のうえであればあとは本人の価値観次第だと考えているからだ。

 言わずもがな、あらゆるリスクやデメリットを“覚悟”して、本当に背負い込めるのかどうかが重要なポイントとなってくる。

 そのため筆者自身は外出を自粛していたが、あやなんのような価値観の人間がいるのは当然だと思うし、強い覚悟があったのならば、その価値観を否定しようとは思わない。

 だが、今回のあやなんの謝罪撤回時の主張は、あまりに暴論で滑稽に感じた。

 まずあやなんは、2021年6月当時は飲み会などを自粛して、現在は大手を振って飲み会をしている人々を攻撃しているが、それはさすがに無理筋だろう。

 東京や大阪などが緊急事態宣言中だった「YouTuber31人飲み会」が行われた当時は、新規感染者数は多くの地域で低水準となっていたが、まだ1回目のワクチン接種が総人口の2割程度という時期。東京オリンピック開催前で、会場の観客は50%以下にし、パブリックビューイングなどは全て中止という決断が下されており、不要不急の外出を控えるようにアナウンスがされていた。

 新型コロナの研究自体も現在ほどは進んでおらず、まだ不明瞭なことが多かった2021年6月当時と、新型コロナウイルスの研究が進み、その実態が解明され、複数回のワクチン接種者が総人口の大半を占める現在とは、まったく状況が違う。けれどあやなんの主張は、2021年6月と2023年10月をイコールにしていることが土台となっているのだ。

 確かにあやなんの言うとおり、研究が進み知見がたまっている現在から見れば、2021年6月当時もコロナを過剰に恐れることはなかったと言えるのかもしれない。

 だが、それはただの結果論。

 ザックリ言うと、当時は「たいしたことないウイルスかもしれない。だが一方で、もしかすると人類にとってとてつもない脅威となるウイルスかもしれない」という状況で、多くの日本人は後者のリスクを回避すべきという価値観だったということだ。

 2023年10月時点の知見を持ち出して、今と2021年6月を同一視するのはフェアではない。