いちばんつらいのは夫。しかし支える家族としても戸惑いが多く、当時は孤独を感じていた。

卵巣がん患者さんのブログやSNSが励みに

そのころ、同世代で同じような経験をした人が周りにいなかったので、不安な気持ちや悲しみを吐き出せませんでした。友人には内容が重すぎて、話すのをためらってしまって。

 夫は自分の気持ちをストレートに伝えてくれる人で、見るに堪えない闘病の中で、『たとえ自分がいなくなっても、命を大切に生きてほしい』と言われたことを今でも覚えています」

 1人目の夫を亡くしたあと、38歳で再婚。自身の卵巣がん・肺がん罹患から闘病を支えてくれた2人目の夫も、2020年に希少がんと診断され、余命宣告をされる。

「脊髄原発悪性黒色腫という、脊髄内に皮膚がんの悪性黒色腫が発症する希少がんでした。『なんで私だけ、結婚する人が毎回がんになってしまうの……』と、現実を受け止めきれませんでした。

 夫は抗がん剤など、できる治療がある限り闘いましたが、翌年には歩けなくなり、車いす生活に。家で過ごしたいという夫の希望で、最期は在宅で介護しながら過ごし、今年1月に看取りました」

 自身の卵巣がんと肺がん、2人の夫のがんに加え、実の父も前立腺がんに。やりきれない思いと、身体に強い痛みを感じる線維筋痛症、もともと患っていたパニック障害などを抱えながら、できるだけYouTube発信を続ける。

「私も闘病中は生き続けている卵巣がん患者さんのブログやSNSが励みになったんです。でも本当に少なかった。私が発信を続けることで、一緒に闘う仲間、闘病を終えて経過観察中の仲間がいることを知ってもらいたい。卵巣がんになったばかりの方やAYA世代(15〜39歳)のがん患者を勇気づけられる存在になれたらと思っています」