では、もし家族が前頭側頭型認知症ではと思ったら、どの診療科を受診すればいい?

「専門は神経内科ですが、一般的な診療所で神経内科を標榜(ひょうぼう)するところは非常に少数。ですから本人にかかりつけ医がある場合は、家族が同伴してそこで相談するといいでしょう。

 かかりつけ医がいない場合は、内科系のクリニックにまず足を運びましょう。そうすれば、専門医を紹介してくれるはずです」

 家族にできることはある?

「この病気に家族だけで対応するのは無理。どの病気にもいえることですが、早期発見が大切ですから、家族にできるのは、疑わしい言動があれば、医療機関に連れていく。ただそれだけだと思います」

 人間性を失うこともある前頭側頭型認知症の人に向き合う家族のストレスは非常に大きい。

「患者に対する治療が必要なのはもちろんですが、家族に対するケアも緊急の課題。そのためにも多くの人にこの病気を知ってほしい、と思っています」

谷口恭先生●TIC谷口医院院長。急性疾患から生活習慣病までさまざまな症状の患者を受け入れている。主な著書に『総合診療医がみる「性」のプライマリ・ケア』『今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ』『医学部6年間の真実』など。
谷口恭先生●TIC谷口医院院長。急性疾患から生活習慣病までさまざまな症状の患者を受け入れている。主な著書に『総合診療医がみる「性」のプライマリ・ケア』『今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ』『医学部6年間の真実』など。
【写真】主な認知症の割合「前頭側頭型認知症」の割合は全体の“1%”だが…
教えてくれたのは……谷口 恭先生●TIC谷口医院院長。急性疾患から生活習慣病までさまざまな症状の患者を受け入れている。主な著書に『総合診療医がみる「性」のプライマリ・ケア』『今そこにある タイのエイズ 日本のエイズ』『医学部6年間の真実』など。

取材・文/中西美紀