「乳がんがん摘出手術を受けた場合、健康保険適用による乳房再建手術が可能です。基本的な流れとしては、まずがんを切除する手術があり、病状が落ち着いたら、胸にシリコンを入れるところを作る2度目の手術を行います。

 その袋が定着したら、最後にシリコンを入れる3度目の手術が実施されます」

 このやり方では3回手術を受けることになるが、それだけ費用が高くなり、身体に与えるダメージも大きくなる。

「そのため近年は考え方が変わり、1度目のがん摘出手術の際、組織拡張器も同時に入れる病院が出てきています。

 乳がんの状況によって、1回でできない場合もありますが、それなら手術は2回ですみ、手術費が抑えられるのはもちろん、身体の回復も早まります」

手術費、入院費、生活療養費など、治療を受けたときにかかる費用を含む(出典『病気の値段がわかる本』)
手術費、入院費、生活療養費など、治療を受けたときにかかる費用を含む(出典『病気の値段がわかる本』)
【写真】がんで実際にかかるさまざまなお金、“病院以外”での出費もかさむ

 ちなみに乳がんでは、乳房再建手術をしたかしないかにかかわらず、専用ブラジャーが必要となる。

 傷口を守る手術直後用のブラジャーは3000~5000円程度。術後の経過が落ち着いたとき用のブラジャーは4000~1万円程度。洗い替えのために複数枚必要となるので、これも予算に入れておくとよい。

 乳がんだけでなく、他のがんも手術後のアフターケアで意外な費用が必要。

「胃がんで胃を全摘すると、しばらく食事がとれなくなります。ですから、その間をしのぐ液体状の高カロリーの栄養機能食品などにお金がかかります」

 大病後は、買い物などもままならなくなる。そこで宅配やネットスーパーを利用することとなるが、これが一生涯続く可能性があるのが肺がん

「肺は肋骨(ろっこつ)の中に存在する臓器。そこで肋骨を1本とり、そこから内側に手を差し込んでがんを切除する手術が行われることが。その場合、手術後も骨を戻しませんから、患者さんは肋骨が1本ない状態となります」

 その結果、腕に力が込められず荷物が持ちづらくなるそう。

「自分で買い物に行くのが難しくなりますから、宅配やネットスーパーが役立ちます。ITが苦手な高齢者の場合は料金はかかりますが買い物代行を頼めればいいです」