【糖尿病】食事制限で楽しみもお金も奪われる

「生活習慣病の中で、糖尿病は最もお金がかかる病気。経過観察や投薬治療ですんでいるうちはいいのですが、それで改善が見られなければ、1日数回のインスリンの皮下注射などが必要となります。

 また、血糖値を自分で検査する場合、それらのキットにもお金がかかります」

 さらに怖いのが合併症。その一つである糖尿病性腎症になり腎不全まで病状が進めば、腎臓の代わりに機械で血液をきれいにする人工透析が避けられない。

「現在、人工透析を受けている理由で、最も多いのが糖尿病性腎症。透析は週3回、1日に4時間ほどかかり、それを一生続けなければなりません」

 透析を受ける場合、1か月に40万円程度の医療費がかかるが、高額療養費制度により、幸いにも患者の負担は1万~2万円。ただ、週3回病院に通う交通費の負担はやはり重い。

「旅行も行こうと思えば行けますが、旅先で透析を受けられる病院を手配するなど準備が大変。費用がかかるだけでなく、手間も時間もとられることになります」

 普段の生活を送るだけでも、お金の負担が生じる。

糖尿病で何よりつらいのが食事制限ではないでしょうか。自分で食事を作る場合、薄味を心がけねばならず、非常に味気ない食事となります。調理が面倒なときもスーパーのお惣菜は買えませんから、市販の糖尿病向けのお弁当を利用することに。

 その場合、味つけに工夫はなされているでしょうが、普通のお弁当が500円のところ、糖尿病食は700円というケースも。1食分は200円の差でも、利用する回数が増えれば、その額は膨大になります」

 糖尿病の場合、運動療法も推奨されている。

「ウォーキングなどを自力で行う場合はもちろん無料。ただ自力では継続が難しく、スポーツクラブなどで指導を受けることで続けられた、という患者さんもいます。その場合、月1万円ほどの料金がかかります」