真面目な努力家

 この連載を進めるにあたり私は、さまざまな関係者への取材を続けているが、「佳子さまはとてもまじめな人」「コツコツと努力を積み重ねるタイプ」という話を何度も耳にしている。彼女は、可愛らしくて華やかで、多くの国民から親しまれている印象が強い。ともすれば、彼女の装いや髪形、身の回りの品、あるいはファッションセンスまでが注目されがちだ。

 それはそれで大事なことではあるけれど、父親の発言のように外国訪問の前には「地域の専門の人から話を聞き、また本を読んで下調べをずいぶんやっていた」という、「まじめな努力家」という側面にも、もっと目を向けていいのではないかと思う。この連載ではできる限り、知られざる佳子さまの魅力や素晴らしさを取り上げ、紹介できればと思っている。

 実はペルー訪問でも、彼女の性格を物語るこんなエピソードがあったという。佳子さまは、聴覚に障がいのある子どもたちが通うリマ市唯一の公立ろう学校「ベートーベン初等特別支援学校」を訪問した。このとき、彼女はペルーで使われている手話を使って挨拶をしたり、子どもたちと交流を深めた。

 報道によると、この日のためにペルー手話の動画を日本に取り寄せ、自宅などでペルー手話を勉強したという。こうした努力が実を結んだのであろう。鮮やかな赤いワンピース姿の佳子さまは、終始、子どもたちと弾けるような笑顔で接していた。私にとっても、今回の訪問の中でいちばん印象深い場面だった。

 '23年11月27日、誕生日を前にした会見で、記者から佳子さまのペルー公式訪問などについて、質問された秋篠宮さまは、こう答えている。

「先日ペルーを公式に訪問して、彼女にとっては2回目になるのですかね、公式訪問で。行くときに飛行機のトラブルなどがありましたけれども、予定していたものはすべて向こうで行うことができ、大変有意義に過ごしたと思います。

 そして、ペルーもそうですし、それから、手話を使った公的な行事ということもお話にありましたけども、日本国内での公的な仕事、そういうものも併せて非常に一所懸命取り組んでいると私は思っています。(中略)引き続き一つひとつ、声をかけていただいた仕事に対して真摯に取り組んでいってもらいたいと思っております」

「非常に一所懸命取り組んでいる」と、ペルー訪問などの活動は父親から高い評価を受けた。今年もまた、海外で、そして国内で、佳子さまは「まじめに一所懸命」、仕事に取り組むことだろう。

<文/江森敬治>

えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に『秋篠宮』(小学館)、『美智子さまの気品』(主婦と生活社)など