巨額の賠償責任と刑事罰の可能性も

 経営陣の判断の甘さや自浄能力のなさを指摘し、小林製薬の今後を憂える。

「腎臓というのは厄介で、悪化すれば人工透析の使用など、重篤な後遺障害が残ってしまう可能性があります。症状の悪化に伴い、将来的に巨額の賠償金を求められる可能性もあります」

 実際、小林製薬が法の裁きを受ける可能性はあるのか。弁護士法人ユア・エース代表の正木絢生弁護士に聞いてみた。

「食品衛生法上、“有毒な、もしくは有害な物質が含まれ、もしくは付着し、またはこれらの疑いがある”食品を販売してはならないとされています。

 仮に、小林製薬が製造した製品と健康被害の因果関係が明らかになった場合、法人の代表者や従業者などは3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処される可能性があります。法人自体も1億円以下の罰金刑に処される可能性があります」

 刑事罰の可能性もあるようだが、遺族や被害者に対しての補償が発生するとしたら、いくらになるのか。

「治療費や労働能力喪失率といった逸失利益や後遺症の慰謝料など、個別事情に基づいて判断されるため、予想することは難しい。

 ですが、類似例でいえば'07年にアマメシバという植物を用いた健康食品を摂取したことで、閉塞性細気管支炎などの健康被害を受けたと2人の女性が製造会社などに対して損害賠償を請求した際は、最終的に製造会社は被害者2人に対して約4600万円支払うことになりました」(正木弁護士

 海外でも報じられている小林製薬の紅麹ショック。日本政府も国を挙げて究明に乗り出すとしている。

『ナットウキナーゼさらさら粒GOLD』自主回収の対象となった小林製薬のサプリ商品。
『ナットウキナーゼさらさら粒GOLD』自主回収の対象となった小林製薬のサプリ商品。
【写真】「ふざけてんの?」物議となっている小林製薬のレシピサイト

高木謙太郎
'22年に四谷で「予防医学を世の中に広め、健康寿命を延ばし社会に貢献する」を理念に新規開業。専門的で高度な医療の提供と、心の通った医療を提供することをモットーに地域医療に従事

白井邦芳
'81年、AIU保険会社に入社。その後、企業の危機管理業務に約3100事例関わる。'17年からゼウス・コンサルティング代表取締役。著書に『リスクマネジメントの教科書』等がある

正木絢生 弁護士
弁護士法人ユア・エース代表。第二東京弁護士会所属。消費者トラブルや借金・離婚・労働問題・相続・交通事故など民事事件から刑事事件まで幅広く手掛ける。BAYFM『ゆっきーのCan Can do it!』にレギュラー出演するほか、ニュース・情報番組などメディア出演も多数。YouTubeやTikTokの「マサッキー弁護士チャンネル」にて、法律やお金のことをわかりやすく解説、配信中。
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