目次
Page 1
ー 「ネットの誹謗中傷に殺されたも同然」
Page 2
ー 加害者の急死で仕事をすべて失った
Page 3
ー 「機嫌が悪い時はネットに書き込まない」

 インターネットでの誹謗中傷が問題となっている今、被害に遭った人の力になりたいと「駆け込み寺」をつくり、親身になって相談に乗っている、僧侶の高橋美清さん(高=はしごたか)。実は、自身も壮絶なネットでの誹謗中傷を受けた被害者のひとり。当時の体験を振り返り、“人間の心の闇”を語ってくれた―。

「ネットの誹謗中傷に殺されたも同然」

 SNSの普及によりネットでの誹謗中傷が社会問題化している現代。総務省の'23年の調査によると、過去1年間でSNSを利用した人の18%が誹謗中傷の被害経験があると回答。もはや人ごとではない。

 早急に対策が求められる中、'24年1月に政府はプロバイダ責任制限法を改正する方針を固めた。これはX(旧ツイッター)などのSNS運営企業に対して、不適切な投稿の削除申請があった場合、迅速な対応などを義務付けるものだ。

 そんな誹謗中傷の標的となって苦しむ人たちを救うために活動する女性がいる。僧侶の高橋美清さんは、すさまじい誹謗中傷を受け、自殺未遂を図るまで追い込まれた過去を持つ。

「私はネットの誹謗中傷に殺されたも同然。人生を破壊されました」(高橋さん、以下同)

 高橋さんは僧侶になる前、「高橋しげみ」の名で日本テレビの『おはよう天気』でキャスターを務めるなど、約30年間フリーアナウンサーとして活動していた。

 誹謗中傷の発端になったのは50歳の時のストーカー被害。'15年、テレビの競輪番組で司会をしていた高橋さんは、ある仕事関係者から悩み相談をきっかけに執拗に会うことを要求され、断り続けていると脅迫電話やメールが何百通も届くように

“会わないなら、ネットにおまえが一番嫌がる嘘を書く”と脅されました。“おまえを社会的に抹殺してやる”と言われて……

アナウンサー時代の高橋さん。古舘伊知郎さんにも認められ、競輪番組で司会者として活躍
アナウンサー時代の高橋さん。古舘伊知郎さんにも認められ、競輪番組で司会者として活躍

 危険を感じて警察に被害を相談すると、男性はストーカー規制法違反で逮捕された。

 加害者の逮捕が報道されると、「被害者は群馬県在住で50代のフリーアナウンサー」と報じられ、高橋さんだと特定されてしまう。

逮捕前に男性が自身のブログで、私と婚約していた、騙されて金を取られたなど嘘を書き連ねていたので、悪者は私という話が匿名掲示板などで拡散されていきました