帝国データバンクの定期調査「食品主要195社」価格改定動向調査によると、主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした飲食料品の、2024年11月の値上げは282品目となった。2023年同月と比べて、約100%増と、とどまるところを知らない食料品の高騰。その背景で、
「外食の回数を減らした」
「食品やスーパーのランクを下げた」
など、節約意識を強めている家庭が多いと話すのは、ファイナンシャルプランナーの伊藤江里子さん。
2025年も続く値上げラッシュ
「せっかく賃上げされても物価の上昇に追いついていないという声も多く、家庭のお財布事情は厳しい様子。食料品の高騰は、円安の加速、気候変動、原材料費やエネルギーコストの上昇など、さまざまな要因が背景にあります。ロシアのウクライナ侵攻による穀物生産量の減少も原因の一つ」(伊藤さん、以下同)
世界情勢から見ても当面は上昇傾向が続くと考えられ、今年も食料品の値上げラッシュは続くという。
「冒頭の調査では、1月から1227品目のパン類の値上げを予想。4月には缶ビールやチューハイなど、酒類の一斉値上げが見込まれます。原材料高以外の物流費や人件費、家賃などの高騰が要因で、品目数は昨年を上回る可能性もありますね」

総務省の発表によると2008年の1世帯あたりの食費の支出割合が、23%だったことに対して、2023年は29%にまで上がっている。
「食費は一般的に世帯年収の約20%が理想とされていますが、今の物価状況では厳しいかも。他の支出にも考慮しながら、30%以下に抑えることを意識づけましょう」
家計への打撃を抑えるためにも、長引く値上げに備えて食費の節約は必要不可欠。そこで節約に詳しいファイナンシャルプランナーの安部智香さんに食費節約のポイントを聞いた。
「基本は、買い物の回数を減らしてまとめ買いする、予算を決めて必要なものだけ買う、調味料はスーパーのプライベートブランドを選ぶなど。意外なところでは、お菓子代や外出先でのカフェ代がかさみやすいのでできるだけ控えましょう」(安部さん、以下同)
無理して一時的に頑張ってもストレスになって続かないため、できる範囲で行うことが大切と安部さん。
「長い目で見れば今後も食料品のインフレは続くはず。無理な節約ではなく、できる範囲で長く続けていくことが大切です」
安部智香さん●短大卒業後、証券会社に勤務。証券会社在職中は、約500人のお客様の資産運用のアドバイスを担当。現在は個人事務所を立ち上げ、個別相談、執筆業務、マネーセミナー講師として活動中。著書に『今日から始める!誰でも「幸せなお金持ち(R)」になる方法』(プローパス)

伊藤江里子さん●大学卒業後、銀行で主に住宅ローンや教育ローンなどの個人向け融資の相談から融資実行までを担当。独立後は資産運用、住宅購入、保険など幅広いセミナーなどで活躍中
