目次
Page 1
ー 原作と舞台の違い
Page 2
ー 『KEY TO LIT』の活動は
Page 3
ー 無理せず、自分らしく

「争いや戦争に対する思いがこもった作品だと感じています。正義と悪について、悪ははたして悪なのか。考えれば考えるほど難しくて、きっと終わりのない議論なんだろうな」

 と語るのは、舞台『W3 ワンダースリー』で主演する井上瑞稀。手塚治虫が生み出した普遍的な物語『W3』誕生から60周年。地球の調査にやってきた3人の宇宙人と地球人の星真一が、さまざまな悪と戦うSF活劇が舞台化される。主人公の真一を演じる井上は、原作の漫画を読む前に、あえて先に舞台の台本を読んだという。

原作と舞台の違い

「僕、すっごく影響を受けやすいんです。原作から入るとただのモノマネになっちゃいそうだなと思って、まずは台本を読みました。自分でキャラクターを想像してから原作を読んだほうが、より表現の幅が広がるのかなと思っています。すごく大きなテーマを持った、メッセージ性の強い作品だなと感じました」

 井上にとって、これが初めて触れた手塚作品だ。

「台本を読んで、人の気持ちをちゃんと考えないといけないと思いました。自分の言葉だけを押しつけるのではなく、相手が話している言葉の“理由”がわかる人間でいたいなと思います。争いはそれぞれの正義が対立して生まれるものだと思ったので、相手にとっての正義をちゃんと理解しようとしたいです」

 原作の真一は“乱暴だけど純真な少年”だが、この舞台では、“家で漫画を描くことが好きな少年”という設定になっている。

「舞台の真一は、原作とは違って僕っぽいみたいです。台本の肩書に《主人公のオーラなど1ミリもない》と書いてあって、セリフに“……”が多いっていう(笑)。そんな主人公の成長物語という側面もあると思います」