その後、訳アリ物件に行くと302号室と同じにおいを感じるようになったそう。

ゴミ臭とも腐敗臭とも言い難い、けれども後ずさりしたくなるような他人の家のすえたにおいがするのです。それまでオバケや心霊現象に縁はなく、何かが視えた経験もないのですが、このお札の部屋をきっかけに、わかるようになってしまいました

驚きで声も出せず息を飲んだ調査とは

 管理会社には15年勤め、延べ7000室の物件管理をしてきたが、他にも理由のつかない現象が起こる部屋や建物を20数件は見てきたという。

そうした物件を自分で徹底的に調べて異常がないことを証明できれば、賃料を戻せるかもしれないと思いまして。独立後、異常現象を科学で解明するオバケ調査を行うことにしたんです

2階和室の天井にある屋根裏には人がたの不可解なシミが。深夜、そこから録音できない騒音がしたという(取材をもとに編集部で作成)
2階和室の天井にある屋根裏には人がたの不可解なシミが。深夜、そこから録音できない騒音がしたという(取材をもとに編集部で作成)
【画像】不可解なシミが……児玉さんの恐怖体験を図面化

 オバケ調査を始めて間もない2年前の夏、忘れられない体験をした。

「不動産オーナーの知人であるHさんからの調査依頼で、一人暮らしの70代男性が孤独死した築30年の戸建て物件に訪れたときのこと。物件は孤独死した男性の息子が相続し、いい思い出がないから早く手放したいと破格の200万円で売りに出していたそう。

 それをHさんが購入し、貸し出すために調査を依頼してきたんです。実際に訪れると見栄えの良い戸建てで、いくら事故物件とはいえ安すぎると違和感を覚えました。男性が孤独死した1階の居間は特殊清掃後にもかかわらず遺体のシミや腐臭がまだ残っていて。とにかく、売り急いでいる感じがしました

 それでも安さの理由が気になり詳しく聞くと、20年前にも2階で母親が死亡していた。亡くなった場所はHさんも知らないという。

2階を見て回るうち、和室の天井に楕円形の大きなシミを見つけて。その真上には屋根裏部屋があるとわかり、もしかしたら母親はここで死んだのでは? と直感しました

 その夜、1人で調査を実施。室温の確認もあるため、夏でもエアコンはつけない。室温は32度を超えていた。

「深夜1時30分過ぎ、夜中にもかかわらず室温計が急に36度まで上昇したんです。そしてパキッと家鳴りがしたと思ったら、ドンッ!! という大きな音が天井から鳴り響いて。

 何か重いものが落ちたのか?と思い、意を決して2階へ駆け上がりましたが、どの部屋も空っぽ。もしかして音がしたのは屋根裏?と思い1階へ戻った瞬間、再びドンッ!! とさっきより大きな音がしたんです。あまりの驚きで声も出せず息をのみました