部活動の理不尽に 慣れたおかげ!?
「部活の理不尽なルールなんて、あくまで小さな世界でのルールなので、大人になってから『サーセン』なんて上司に言ったらカミナリが落ちますよ(笑)。
ただ、個人的には学生時代に“理不尽”に慣れていたおかげで、現実社会の理不尽に耐えられている部分はあると思います」(ホリさん)
ホリさんが「今も忘れられない」と語る先輩からの理不尽な扱いは、大学時代に遡る。
「大学在学中、文系の広告研究会サークルに所属していました。戦後間もないころに立ち上がったサークルだからか、文系サークルなのに軍隊のような規律がたくさんあったんですよ。例えば、代々受け継がれてきた『旗』は、次期部長と現部長しか触ってはならないという鉄の掟や、納会の1次会と2次会の間に大学の校歌を歌いながら舞うという、儀式のような催しがありました。もしも校歌を間違えれば、先輩にガン詰めされてやり直し。かなり緊張してましたね」(ホリさん)
まるでブラック企業に洗脳されているようだった、と振り返るホリさん。しかし、数年前に同じサークル出身の後輩と話をする機会があり、彼は時代の流れに衝撃を受けたという。
「その子は、僕よりも10歳ほど年下でした。そこで『旗って今も部長しか触れないの?』とか『校歌を歌ってる?』とか、いろいろと質問してみると『何ですかそれ! 今は上級生も下級生も、みんな和気あいあいとやってますよ』と言われてしまったんです。たった10年でここまで変わるとは……。
もちろん、サークルメンバーの仲がいいに越したことはありません。でも、当時の伝統が少しでも残っていたら、あのころの自分の苦労が報われたかも、なんて思いました(笑)」(ホリさん)
部活内で受け継がれる謎ルールがあれば、失われる伝統もある。時代ごとに部活動の変遷をたどっていくと、新たな発見がありそうだ。