被害に気づくのはひと月後
「サイトそのものは、スタート社とは思えないほどセンスもなく粗雑なデザインですが、“推しのライブを見たい!”という人なら飛びついてしまう。クレジットカード番号、セキュリティー番号を入力すると、相手の思うつぼ。ネットショッピングで換金しやすい商品を、限度額ギリギリまで購入されてしまう。ファンが被害額に気づくのは、ひと月後の請求額が莫大であることを知ったとき。すでにサイトは閉じられ、跡形もなくなくなっているという流れです」(偽サイトに詳しいITライター)
前出・スポーツ紙記者は次のようなことを明かす。
「捜査当局としては、犯罪組織を一網打尽にしたい。一件一件を追っていたら、いつまでたっても終わらないからです。クレジットカード会社の補償が及ぶケースもありますが、カード会社に連絡をしたり警察に被害届を提出したりと面倒なことだけは間違いありません」
ファンひとりひとりは、クレジットカード番号を打ち込む際に、正しいサイトなのか注意深くチェックすればある程度被害は防げる。頭が痛いのは芸能プロダクションやレコード会社だ。
「アーティストサイド、アイドルサイドですよね、手数がかかる対策を迫られるのは。偽サイトや偽アカウントが使われていないかパトロールする必要もありますし、そのためにはお金がかかる。偽サイトをすぐに作れる詐欺キットも入手できますから、誰でも簡単に人をだますことができる。厄介な時代ですよ」(前出・ITライター)
便利なツールやシステムが世に出回れば、それを悪用してやろうという悪人や愉快犯が出るのがネットの世界。住所氏名生年月日カード情報などプライベートを打ち込む際には、細心の注意が必要だ。
芸能プロダクションもレコード会社も、アーティストのマネジメントや音楽制作以外の危機管理に予算と時間を割かなければいけない。厄介なこと、この上ない。