坐禅で姿勢と呼吸を調えることで、こうした悪循環を断ち切ることができる。

坐禅はおおらかにやることが大切

「姿勢を調えるには、まず仙骨と呼ばれる腰の骨を立てて、首が前に出ないようにします。腰を立てたらイスに坐った状態で手のひらを上に向けた右手をももの上にのせ、小指をおへその下に。左手も手のひらを上向きにして、右手の上にのせ左右の親指をかすかに合わせます。背もたれには寄りかからずに背骨をまっすぐ、首は上に高く伸ばして少しあごを引き、両肩を開きます。足の裏で床をしっかり踏んで身体を安定させ、力を抜いてラクな姿勢を保ってください

 背骨の上にしっかりと頭がのって首に負担がかからなくなり、全身がラクになって疲れも自然と取れてくる。

「さらに姿勢を正すと呼吸筋が調って深い呼吸ができるようになります。酸素をたくさん吸えるようになるので、血行が良くなって頭がスッキリするんです。思考力も正しく働いて、不必要な思考や不安も整理できるようになります。人間ですから感情や考えがなくなることはありません。大切なのはそれを波立たせないこと。嫌なことがあったときこそ、ぜひイス坐禅で呼吸を調え、穏やかな心を手に入れてください

 とはいえ、深い呼吸を長時間続けるのはNG。体外に二酸化炭素を排出するスピードが遅れ、めまいや頭痛など、かえって身体に負担をかけてしまう。

ある程度呼吸が調ったら、ゆったりとした無意識の呼吸に戻すこと。坐禅はおおらかにやることが大切です

 イス坐禅を行うおすすめのタイミングは、朝起きたときと夜寝る前。

朝は頭がスッキリして身体が調いますし、夜は心身がリラックスして睡眠の質を高めてくれます。時間の目安は5〜10分ですが、トイレに坐っているときなどの隙間時間に30秒姿勢を調えるだけでも効果があります。時間を気にして時間をタイマーではかる人もいますが、おすすめしません。大切なのは自分の身体の感覚。調ったと感じるまで続けてみてくださいね

 おへそから指4本分ぐらい下に位置する丹田。この高さとちょうど同じ高さで、後ろにあるのが仙骨です