引っ込み思案のおばあちゃんが大変身
実際、YouTubeを始めてしばらくは、きのえおばあちゃんに変化は見られなかったが、チャンネル登録者が1万人を超えたころから、周りが変わり始めた。
「大勢の方に見ていただくようになり、『こんなおばあちゃんになりたい』なんて、うれしいコメントもたくさんいただいて、そこからおばあちゃんも変わりました。生き生きして、前向きに毎日を過ごすようになったと思います。僕の母から見ても、おばあちゃんの変わりようはすごかったようで、まるで別人になったみたいと言っていました」(ひろ)
もともと引っ込み思案で、人前でしゃべることも苦手。こんなふうになるとは、夢にも思わなかったと、きのえおばあちゃんも話す。
「動画を見た方から、いろいろ褒め言葉をいただくのがうれしいですね。生きがいというか、人生に張り合いが出てきました」(きのえ)
よく動きよく食べる、これが健康の秘訣
シャキッとした姿勢のきのえおばあちゃんを見て、やっぱり気になるのが健康の秘訣(ひけつ)。大きな病気をしたことはなく、病院にもほとんど行ったことがないとか。
「健康の秘訣は、労を惜しまないで、なるべく動くことですね。畑仕事もしていますし、自分流ですがラジオ体操の第一は、ほとんど毎日欠かさずやっています。あとは3食きちんと食べて、よく寝ること。当たり前のことをしているだけで、特別なことは何もしていませんよ」(きのえ)
動画にはバランスのとれた食事がたくさん出てくるけれど、毎食を用意するのは面倒ではないのだろうか。
「あまり面倒とは思いませんね。なるべくバランスよく栄養がとれるように、少しは考えています。とにかく白いご飯が大好きです。朝起きて、おなかがすいていることも、ありますよ」(きのえ)
果樹農業は83歳で引退したが、今でも30種類ほどの自家用野菜を栽培している。春から秋にかけては畑仕事が忙しいが、畑仕事が休みになる冬場は家の中でピアノを弾いたり、ナンプレを解いたりして趣味を楽しんでいるそうだ。きのえおばあちゃんの今、一番の楽しみは?
「友達との集まりですね。月に2回は、ふれあい講座や元気広場といった年寄りの集まりに参加して、ゲームや折り紙なんかをしています。あと、週に1回は回復支援センターに行き、運動をしています」(きのえ)
お年寄り同士の交流も、きのえおばあちゃんの元気のもとになっているよう。
「年をとると、話し相手がいるのはいいことですね。あとは、周りに頼りになる人がいること。健康ならいいけど、ちょっと病むと本当に心細いですからね」(きのえ)
きのえおばあちゃんにとって頼りになるのは、やっぱり家族。YouTubeを通して、家族の絆はより強まった。「100歳までYouTubeを続けたい」と言う、きのえおばあちゃん。その姿をお手本にして、健康長寿を目指したい!