小6の夏、自らの意思で被爆地・広島の旅に

「日本は本当に各地にさまざまな文化があります。そういうものを若いうちに実際にその場所を訪ねて、そこでそういうものにじかにふれるということは、将来的にも非常に大事なことなのではないかなと思っております」

 誕生日会見で秋篠宮さまは、このように述べているが、この考えどおり、悠仁さまはいろいろな場所を旅している。

 2015年の7月、小学校3年の夏休みを利用して、秋篠宮ご夫妻と悠仁さまは、山形県を訪れている。鳥海山の麓にある遊佐町の神社で、鎌倉時代のころから伝承される神楽「杉沢比山」を鑑賞した。

 神楽終了後、保存会のメンバーが太鼓を使って曲の一節を披露した。秋篠宮さまが太鼓の演奏に挑戦したが、うまくできず、悠仁さまが「そうじゃないよ」と代わって、見事に演奏した。周囲から拍手が起きたという。

小学校5年の夏休みには、紀子さまと一緒に5日間、小笠原諸島を旅行した。小笠原海洋センターでは、水槽で飼育しているウミガメを観察し、野菜を与え、近くの浜辺で、センターの人と一緒に標識をつけた子ガメを放し、子ガメが海に入っていく姿を見送った。また、父島や母島で暮らす人々との交流を楽しんだ。

 今年は戦後80年の大きな節目にあたる。7月に悠仁さまは、家族と一緒に原子爆弾投下後の広島市内の惨状などを写した写真展を見学しているが、小学校6年の夏、悠仁さまは自分から希望して紀子さまとともに、被爆地・広島を初めて訪れた。両親は、長男の成長に目を細めた。その年の記者会見で、秋篠宮さまはこう話している。

「本人自身がぜひ広島に行きたいという希望を持って、それで、家内と一緒に行ったわけですね。そのように、かなり自主的に動くということをするようになってきたと思いますし、自分の意見もはっきり言うようになったなという印象は私にもあります」

「人のことを思いやる気持ちというのは、以前よりも増してきたなと思います」

 記者会見で秋篠宮さまは、次のようなことを繰り返し述べている。

「長男にはできるだけ日本のさまざまな地域に自分で行ってみて、それでその土地、土地の文化であったりとか、生活の習慣であったりとか、そういうものを実際に見て、そしてその土地の人から話を聞いて、理解を深めてもらいたいなと思っています」

「もちろん機会があれば海外にも行って、そこからまた日本を見るということも大事だと思いますし、日本との違いであったり、また、非常に近い、似ているところであったり、そういう機会も持つことができればいいのではないかと思っております」

 日本各地を回り、人々と肌でふれ合う。外国に出かけ、海外から日本を見る。そして、両者の違いに気づき、日本のよさを再発見することがとても大切だ。このように、秋篠宮さまは盛んに息子にすすめている。