「3年前の逮捕時に取材したときは“かわいそうな男だな”と思いました。職場では女性の話すらしないピュアな男と評判でしたし、面識のない女性をストーキングし、首を絞めた後で切々と愛を告白するなんて聞いたことのない犯行態様でしたから。更生できるのではと思っていたんですが、殺人におよぶとは……」
今回の被害者は、神戸市中央区のオートロック式マンションに住む会社員・片山恵さん(24)。彼女の退勤を待って、職場から50分以上も尾行した後、マンション内で刺殺した東京都新宿区の会社員・谷本将志容疑者(35)について、3年前の事件を取材したジャーナリストはそう話す。
犯行後に“いかに好きか”を約1時間かけて愛の告白
8月20日の夜、オートロックを開錠した片山さんの後に続いてマンション内に侵入し、エレベーター内で羽交い締めにしたほか、胸などを複数回刺して失血死させたとみられる。犯行後はタクシーと新幹線を乗り継いで帰京し、東京都奥多摩町で身柄を確保された。
片山さんについて「まったく知らない人」と話し、犯行2日前の朝に路上で見かけて「好みのタイプだと思って後をつけた」と供述しているという。勤務先付近を再三うろつくなどして片山さんが出てくるのを待ったり、出勤をチェックする様子を周辺の防犯カメラが捉えていた。
「谷本容疑者は、まじめな仕事ぶりとコミュニケーション力などが勤務先で評価されていました。8月17日から21日に夏季休暇を取得し、約1か月前から新幹線や神戸市内のホテルを予約して、夏休み初日に神戸入り。その日からホテル周辺を徘徊して複数の女性の後をつけていました。
事件発覚後、警察に連絡してきた20代女性もそのひとり。オートロック式マンションで女性に続いて玄関を“すり抜ける”手口で、この女性は不審に思ってやりすごし、難を逃れています。3年前の事件もオートロックのすり抜けでした」
と在阪の大手紙社会部記者。
2022年5月、神戸市中央区の女性(当時23)をマンション内で待ち伏せ。女性が自室のドアを開けると強引に押し入り、首を絞めてケガを負わせた。谷本容疑者は当時、神戸市内の建設会社の社員寮に住んでおり、女性に目をつけてから約4か月にわたってつけ回していた。前出のジャーナリストが振り返る。
「犯行後、被害女性に対して“いかに好きか”と約1時間にわたって愛の告白をしていました。身体を触るなどのわいせつな行為は確認されていません。去り際に“警察には通報しないでね”と言い残し、翌日、女性に謝ろうと現場周辺にいたところを警戒中の警察官に見つかり、職務質問されて逮捕に至ったのです。女性は親族を通じて警察に通報していました」