・喫煙所の充足度評価では全体の「足りている」と感じる割合は33.1%となっており、66.9%が足りないと感じている。
・喫煙所が見つからない場合の対応として、「喫煙を我慢する」と回答した人が73.6%と最も多いが、一方で、「路上で喫煙する」「コインパーキングなどの私有地で喫煙する」など、適切な喫煙場所が確保できないことで、望ましくない行動に至るケースも一定数存在している。
・喫煙所増設への賛成度は全体の79.2%。大阪市内における喫煙所の数は喫煙者・非喫煙者を問わず「不足している」と感じている人が多く、喫煙所の増設が強く求められていることが明らかとなった。
・浪速区・天王寺区など喫煙所が不足していると感じている割合が高いエリアでは、ポイ捨ての目撃頻度も高く、喫煙環境の不足とポイ捨て発生には一定の相関が見られる。
特に大阪ミナミの繁華街では、札幌すすきの、東京駅周辺、福岡天神など他の大都市の繁華街と比較してもポイ捨てごみの数が突出して多かったという。喫煙所がない喫煙者が、隠れるように一服し、そのまま捨ててしまうのだ。つまり、喫煙所がないことで、かえってポイ捨てが増加している実態も明らかになった。
「これでは何のために条例を厳しくしたのか分かりません。街は全くきれいになっていない。そもそも『路上喫煙禁止条例』ではなく、マナー違反を取り締まる『ポイ捨て禁止条例』にしておけば、こんな問題は起きなかったのではないでしょうか」
実は、市議会関係者もこうした失敗を認識している節がある。中村氏が市議会関係者と意見交換した際には、こんな本音が漏れたという。
「『府の条例、市の条例、そして自転車の飲酒運転を禁じた道路交通法改正の3つを同時に重ねてしまったのは、我々の失敗だった』と。飲食店にとってはまさに“三重苦”です」
「万博ゴール」ではなく「万博スタート」の発想を

飲食店にとって、たばこを吸う人も吸わない人も、等しく大切なお客様だ。その一方を自らの手で排除せざるを得ない状況は、断腸の思いだろう。
「我々が求めているのは、特別なことではありません。万博をゴールにするのではなく、共存社会のスタート地点と捉え、じっくり時間をかけて環境を整備してほしい。府には約120億円もの、そして市には約310億円ものたばこ税収がある。その一部でも、しっかりとした環境整備に使うべきです。そして、市民をごまかすようなこと、正直者がバカを見るようなこと、住民同士を監視させるようなことは、もうやめていただきたい。その一心です」
消費者のとても身近な場所でなりわいを立てる飲食店、市はこの切実な声をどう受け止めるのだろうか。後編では、大阪市の反応、とりわけ喫煙所のさらなる増加策の行方についてお伝えする。