サロンがAIを使用するワケ

 実際、ヘアやネイル、アイなどの美容サロン向けにAI写真を販売する専門の業者も多数存在している。過去には、《ホットペッパーでAI禁止と言われた美容師さん。大丈夫です。AI判定ツールに反応しにくい工夫がされた画像です》と謳い、公式SNSアカウントが凍結された業者も。

 ユーザーからは不評のAI画像。実際の施術とは異なる印象を与えてしまうため、集客への悪影響やサロン自体のイメージ低下につながりかねない。そんなリスクを承知のうえで、なぜ使用するサロンが後を絶たないのだろうか。

AIで生成したようにみえるヘアカタログ(ホットペッパービューティーより)
AIで生成したようにみえるヘアカタログ(ホットペッパービューティーより)
【写真】「カット詐欺じゃん」不満の声が相次いでいる美容院の“AI画像”

「サイトやSNSに掲載するヘアスタイルの写真を撮るのは意外とコストがかかります。スマホのない時代は高いカメラで撮影し、PCで画像修正もしてコストも時間もかかりました。スマホが登場してからはだいぶ楽になったものの、やはり画像の修正は必要です。また、多機能修正アプリや高性能カメラ付きのスマホにこだわると、やはりコストはかかります」(元美容師)

 理由は、ほかにもあるという。

「実際に施術を受けて被写体となってくれるモデルさんを探すのも大変。街で声をかけたりSNSでDMを送ったり、人伝に紹介してもらったり……。最近は“サロンモデル戦争”も激化しており、セミプロのモデルさんに頼むことも。そうなると、ギャラも必要になります。諸々のコストを考えると、AI画像を使用した方が、時間もコスト削減できると安易に考えてしまう気持ちも理解はできます」(前出、元美容師)

 その“サロンモデル戦争”に対しても厳しい意見が。

《顔の造形も美しさも一般人と離れすぎてて全く参考にならないのよ》

《最近のサロンモデル どの子もめちゃくちゃカワイイけど 参考になるかといわれればならないですね》

《髪型よりモデルの顔にフォーカスした写真多すぎ こちとら髪が見たいんですけど!》

 施術写真は被写体の可愛さや美しさを誇示するものではない。ユーザーのニーズを満たせなければ本末転倒だ。何のための、誰のためのサービスなのかを今一度見つめ直してほしいものだ。