「よく聞く」「待つ」「否定しない」
学習指導補助員の仕事は、授業に取り組むのに少し時間がかかる児童のサポート。1対1の対応になるが、ほかの児童との関わりも大切で、結局はクラス全体を見守ることになる。
「授業以外の休み時間や給食の時間は短くて、子どもたちと接する時間は限定的。学童は、クラスの中ではわからなかった子どもたちの姿が見えてきます。子どもたちにより深く関わることができるので、昨年からこの仕事も始めて、やりがいもいっそう大きくなりました」
「俳優業と小学校での仕事は、まったく異なるように見えますが、実際は共通しているものがたくさんあります。俳優として生きる中で、少しずつ気づいていたことが、子どもたちとの時間を通してはっきりと自覚できるようになったのです」
大浦さんが大切にしていることは、「よく聞く」「待つ」「否定しない」の3つ。相手が大人でも子どもでも関係なく、必要なものだという。
「“よく聞く”は、単に耳を傾けるだけでなく、相手の言葉になっていない気持ちを感じとるという意味があります。大人をイラッとさせる言葉を発する子どももいますが、なぜ、そういう言い方をするのか、考えてみる。すると、その子の感情や環境が見えてくることがあります。俳優として、台本に書かれていない背景を深掘りし、監督の意図を推し量ることとつながっている気がします。
“待つ”の重要性は、子どもにも大人にも共通しています。相手の話を遮って意見を言ったりせず、最後まで話を聞く。黙って待つ、という姿勢がすごく大切なのだと思います。
“否定しない”も同様で、子どもがよくない行為をしたときは、何がよくないことなのかしっかり伝えますが、本人の人格を否定するような言い方はしません。俳優業でも同じ。自分と意見が違っても、“よく聞く”ようにしています」