ほかの朝ドラと『ばけばけ』の違い

 すでに、ドラマでは『松風の怪談』や『鳥取の布団』という怪談が登場しているのだが、馴染みが薄く、聞いたことがある人は少ないだろう。怪談といえば『四谷怪談』『皿屋敷』『牡丹燈籠』などが有名だが、実は日本には100を超える怪談があり、地方限定で語り継がれていたものも多い。馴染みのない怪談が登場したことで、このドラマの特徴が見えてくる。

「まさに、NHKの真骨頂です。今回の朝ドラは、最近のNHKドラマのトレンドといいますか、“学習型・検索型”ドラマになっていますね。聞いたことがない怪談が出てきて、ネット検索した視聴者は多いでしょう。先日は“らしゃめん”という言葉が登場し、話題になりました。ネットが普及していなかったころは、誰かに聞くか辞書を引かねばならず面倒でしたから、意味不明なことが多いと、視聴者がドラマから離れてしまう心配がありました。今はスマホで即検索できますから、若い視聴者も興味を持ちやすいのでしょう」(前出・テレビ誌ライター)

 ほかの朝ドラと『ばけばけ』の違いは、それだけではない。朝ドラファンのベテラン映画ライターによれば、

「放送が始まって驚いたのは、登場人物の会話がコメディタッチなんですね。朝ドラのヒロインはたいてい災難にあい、困難に立ち向かう波乱万丈の人生を送ることになっています。視聴者も胸が痛くなりますが、そればかりだと視ているほうも疲れるので、ほっこりしたシーンを入れたり、笑いを取ったりしています。これまでもときどき、ウケを狙っているんだなと感じるシーンがありましたが、『ばけばけ』は最初から笑いを取りにいってて、“攻めてる”感じがしました。登場人物の会話が“ボケとツッコミ”になっています。これまでの朝ドラでは、なかったことです」