そんな“純度の高いふかわりょう”に出会える一冊が、10月に発売された『東京生まれじゃないけれど』(ポプラ社)だ。
この本を片手に東京散策をしてもらえたら
「東京新聞」で2年間連載されたエッセイ「東京23区物語」をまとめた同書。『笑っていいとも!』の思い出が色濃く残る新宿や、昭和にタイムスリップしたような日暮里の純喫茶でのひとときなど“ふかわりょうの視点”で東京の街を切り取っている。
2本のたんぽぽが、桜の花びらと会話をするエピソードもあり、虚実入り交じる独特な世界観が魅力だ。
「エッセイでは、読み手に感情を押しつけず、自己批判も織り交ぜながらドライに綴るように意識しています。この連載を通して改めて感じたのは、東京という街の新陳代謝の早さ。特に最近は多くのエリアで再開発が進み、街がどんどん変化しているので“23区の今”を写したスナップショットとしても楽しめると思います」
タイトルからも、30年住んでもなお縮まらない、東京とのほどよい距離感がにじむ。
「今回は、愛着のある場所だけでなく、初めて足を踏み入れた街についても書きました。東京って、誰にとってもしっくりこないところがあるかもしれません。ですが、この本を片手に、東京散策をしてもらえるとうれしいですね」
“まだバレていないふかわりょう”と一緒に、晩秋の東京を歩いてみよう。
最新刊『東京生まれじゃないけれど』
(ポプラ社 税込み1760円)
取材・文/大貫未来(清談社) 撮影/山田智絵
ふかわ・りょう 1974年、神奈川県生まれ。1994年にお笑い芸人としてデビュー。長髪に白いヘアターバンを装着した「小心者克服講座」でブレイクを果たし、あるあるネタの礎を築く。ROCKETMAN名義でDJを続けながら、稀有なセンスとキャラクターで芸能界を漂う。『世の中と足並みがそろわない』(新潮社)、『日本語界隈』(共著、ポプラ社)など著書多数。












