上野さんの知人で80代の女性は、夫を亡くしてひとり暮らしだが毎日の散歩と週1回のカラオケ教室を欠かさない。
趣味を楽しみながら自立した生活を続け、一度も介護保険の世話になったことがないのだとか。外出や人との関わりが、介護の予防につながることがよくわかる例だ。
歩く、しゃがむ、立つ、の3つを意識して生活する
家事、庭仕事はもちろん、エレベーターを使わずに階段を使ったり、ペットと散歩したり、音楽に合わせて踊ったりと、こまめに身体を動かそう。
「運動は生活習慣病や認知症を予防することがわかっています。おすすめはウォーキング。70歳を過ぎた私も、実践しています」
歩く、しゃがむ、立つ、の3つを意識して生活するだけでも自然に運動量が増える。寝たきりの予防には足腰を鍛えることがいちばんの近道。筋肉は何歳からでも増やせることがわかっている。身体を動かす習慣を。
見過ごせないのが、年々増え続ける老年期のうつ病。厚生労働省の20年の調査によると、65歳以上で170万人以上の患者がいるとされ、特に女性に多い。放っておくと認知症に移行したり、身体機能が低下したりと深刻な影響を及ぼす可能性もある。
「心と身体はつながっています。小さなことを気にしすぎず、周りに感謝の気持ちを持って過ごしている人は心に張りがあって前向き。人生の終盤はおおらかに、まぁいいか!ぐらいの心持ちでいきましょう」
独居、あるいは配偶者とのふたり暮らしなど、さまざまなパターンが予想される老後の生活。どんな場合であっても人との適度な距離感が大切だ。
「ひとり暮らしなら、ご近所さん、顔なじみの店員さん、お茶飲み友達など、ちょっとしたつながりをいくつか持っておきましょう。いざというときに声をかけられる安心感が、充実したひとり暮らしを支えてくれます」
一方、自分の子どもには頼りすぎない、甘えすぎないことが基本。
「自分の老後を子どもに預けないで。なんでも家族にお世話になっていてはできないことが増えるばかりです。むしろ自分の人生は自分で楽しむと覚悟を決めている方のほうが、お子さんたちとも良好な関係を築いているように見えます」
心と身体を日々刺激して上手に使えば、介護は可能な限り先延ばしにできる。誤解されがちだが、介護を遠ざけることは、“最期まで自宅で過ごす”こととイコールではない。
元気なうちに有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に入居することで人との交流が生まれ、むしろ入居前よりも充実した生活を送れるようになった人も大勢いるからだ。
「人生の後半戦、“どこ”で生きるかより、“誰とどう”生きるか、のほうが重要。愛情や、感謝の気持ちが循環する場所はなにも自宅に限りません。施設のスタッフや地域の人々と心のつながりをつくれる場所なら、きっと自分らしく生きられるはずです」











