高齢者介護施設を姥捨て山のように感じ、親の入居に罪悪感を抱く子どもは多い。しかし、世界各国と比べても日本の介護施設は群を抜いて充実しており、サービスも手厚い。

人生の最終章を施設で送ることは、悲劇でもなんでもない

 特別養護老人ホームも最近は個室が主流。プライバシーを適度に保ちながら豊かに生きることは可能だ。

基本的に認知症患者のみを受け入れるグループホームでも、終末期の方でない限り寝たきりはあり得ません。私たちの施設でも、個室と共用スペースを自由に行き来し、食事をするのはリビングです。たとえ認知症でも、もちろん施設で暮らしても、介護されない生き方は可能なのです

 今では『サザエさん』のような3世代同居はごくわずかで、核家族すら減少しつつある。もはや現在の日本では単独世帯がもっとも多く、24年の「国民生活基礎調査」では過去最多のおよそ1900万世帯、全体の3割を超えた。

 その多くは、高齢夫婦のどちらかが亡くなり、残された者が独居となるケースだ。自宅でたくさんの家族に看取られながら旅立つことが当たり前ではない時代、“自宅での老後”にこだわり続ける必要はないのかもしれない。

私たちの施設は保育園と隣接しており、入居者さんたちは子どもたちとの触れ合いに目を輝かせて喜んでくださいます。温かい交流があり、笑い声があり、季節ごとの自然を感じられる場所が私の考える理想の施設。人生の最終章を施設で送ることは、悲劇でもなんでもありません

 人生100年時代。65歳で高齢者の仲間入りをしたあとには、35年もの年月がある。介護される未来はなるべく遠ざけ、いよいよとなったら自分なりの理想の施設で最期を迎える。そんなふうに考えれば、老いを必要以上に恐れる必要はないのかもしれない。

日本には、社会全体で高齢者を支える介護保険のしくみが整っています。不安になったときは、日本にいる限りはなんとかなるでしょ、と考えて(笑)。一緒に、まぁいいか!の心持ちでいきましょう

上野利惠子著『介護されない未来を自分の手で作る』(青志社)
【写真】介護されたくない人は必読!“介護のプロ”上野さんの著書

取材・文/植木淳子