心をふっと軽くする「言葉の処方箋」

 老後プランは“気にしすぎない”、“共有体験”で夫婦仲良好に

Q.娘も大学生。夫もそろそろ定年退職。この先、大きな変化もなく、楽しいことがあるか不安です。

A.「楽しいことっていうのは『今』つくるもの」

 脳は不安なことをぐるぐる考えすぎる性質があるので、未来の不安にとらわれないためには「今」に集中するのがいちばん。

 例えばいつもより丁寧に洗濯物を干すことを意識してみて、「きちんとできたらおいしいおやつを食べちゃおう」とか、最初はそんな積み重ねでOK。脳に今を充実させるクセをつければ、自然と悩みも減ってくるはず。

Q.老眼も進みどんどん老け込んできて、なんだか気がめいります。

A.「魅力って、その人らしさの中にあるのよ」

 若さに執着すると、失われていくものばかりに意識が向いてネガティブ思考に陥ってしまう。それに魅力は、“その人らしさ”の中にあるもの。だから清潔感と自分らしさがあれば十分。若さではなく、あなたらしさに目を向けて。

Q.子育ても終わり夫婦関係がマンネリ。2人だけの時間に戸惑います。

A.「毎日一緒にいられる人って、とても貴重」

 意識して「共有体験」を増やすのがおすすめ。一緒においしいものを食べたり出かけたり、お互いの顔を見て感情を分かち合う機会を増やすと心の距離が自然と近づき、共に暮らすだけの相手から“人生の相棒”に変わる。

 そうやって「毎日一緒にいられて良い体験を分かち合える人」がいるというのをポジティブな意味にかえてみて。

Q.夫が外面はいいのに、家ではクレーマーで困っています。

A.「相手の言動は性格というより学習の結果なの」

 クレーマー化するのは、そうすることで“得”をしてきたから。でも学習行動として定着しているだけだから、変えられない性格ではないはず。有効なのは行動療法的アプローチ。

 相手の嫌な言動に反応しない、その言い方はちょっと……と伝えるなど、対応を変えてみることで「クレームを言っても通じない」とわかったら、徐々に横柄な態度をとらなくなることも。

Q.将来の老後資金が足りないのではと、毎日不安。

A.「ぶっちゃけ老後のプランなんてどうでもいい」

 お金の心配は終わりのない“計算地獄”。どんなに備えていても病気や事故は急に起こるので、未来のことを考えすぎる必要はない。困ったら社会保障制度に頼ることもできるので、抱えすぎないほうがいい。

 最悪のケースを想定して不安にとらわれるのは、未来への過剰投影。不安貯金をやめて、2か月先を生き抜けるくらいの余力があればいいと開き直るのが大事。

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教えてくれたのは……Tomy先生●精神科医。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医。X(@PdoctorTomy)などで「言葉の精神安定剤」として、多くの人の心に寄り添うメッセージを発信。『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)をはじめ、著書多数。


取材・文/井上真規子